年金「結局、いつ受給が得?」悩む人に教えたい真実 意外と知らない「損益分岐点」と受給の注意点
こうお話しすると、とくに男性は「年金は繰り上げたほうがいい?」と思われるかもしれませんが、違います。平均寿命はあくまで「0歳の人の平均余命(何歳まで生きるか)」を示したものだからです。
簡易生命表の「寿命中位数等生命表上の生存状況」によると、現時点で60歳の男性は約半数が85歳、女性は約半数が90歳まで生きる時代です。今後も平均寿命・平均余命が延びていくことを考えると、繰り上げ受給は選ばないほうがいいことがわかります。
年金の繰り下げ受給の1つの目安は68歳です。寿命が84歳~86歳のときに、手取り額が最も多くなります。ただし、68歳を過ぎても長く働けるなら、働いている間は繰り下げ待機をしておいて、仕事を辞めた年齢から年金を受け取り始めることで、その後の年金額を増やすことが可能です。
繰り下げ受給はいつまでと決めておく必要はない
年金の繰り下げを行っているときに不測の事態が起きて、まとまったお金が必要になった場合、それまで受け取ってこなかった年金を最大5年分さかのぼって一括で受給できます。
例えば、65歳以降年金を繰り下げている(繰り下げ待機している)ときに、68歳時点でまとまったお金が必要になったとします。この場合、65~68歳までの3年分の年金を一括で受け取れます。そして一括で受け取ったあとは、65歳時点の年金額が支給されます。
また、72歳時点で年金を一括で受け取る場合、もらえるお金は最大で67~72歳までの5年分です。
以前は、その後受け取る年金額が「65歳時点の年金額」になってしまっていましたが、2023年4月以降は「5年前みなし繰り下げ」(特例的な繰下げみなし増額制度)によって、65歳・66歳の間は繰り下げ受給をしていたとみなされるようになりました。つまり、一時金を受け取った後の年金額が67歳時点のもの(16.8%増加した金額)になります。
5年前みなし繰り下げによって、最大5年分の年金を一括で受け取る際のデメリットが少なくなりました。年金の繰り下げ受給はあらかじめいつまでと決めておく必要はありません。基本的に繰り下げ待機をしておいて、とくに何もなければ繰り下げを続け、もしものときには一括で受け取るという具合に、上手に活用しましょう。
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