広島サミットの現場で聞いた海外記者の辛口評価 主役はゼレンスキー氏で核軍縮は完全にスルー

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今回、日本メディアでは、その世界に占める相対的な経済力の低下から、G7の影響力に翳りが出てきているのではとの論調が目立った。

実際、「韓国をG7に加えるべきで、そうしないとG7は重要ではなくなる」(アメリカメディアの韓国特派員)という懸念、そして「私たちはG7に加わりたいが日本が入れたがらない。今は日韓関係がいいので(韓国のG7参加の)可能性は大きくなっている」(韓国人記者)との期待があった。

ただ、G7の専門家であるトロント大学のジョン・キルトン氏は別の意見だ。彼は「大国」と「民主主義」がG7加入の条件で、それを満たしているのはインドしかないと話す。

「今やインドのGDPはG7の一角を占める英国を超えているし、長い間民主主義を維持してきた。韓国については、自らを(大国ではなく)ミドルパワーと定義していることなどから、G7には適任ではない」との判断だ。

やらせ感が残念だった記者会見

最終日にあたる21日に広島平和記念公園で議長国記者会見が開かれた。同公園に入ると、そのちょうど真ん中のエリアに記者会見用の椅子が整然と並んでいるのが遠目に見えた。原爆死没者慰霊碑と原爆ドームとを一直線に結ぶ、最も「絵になる」ロケーションである。

国内外から多くの記者が駆けつけているので、ここで会見することで「岸田首相は世界のリーダー」だと印象づけようとの計算があったのかもしれない。

午後2時40分頃、予定より10分ほどスケジュールが押す中で岸田首相が登場。ステージの四隅には防弾鞄を携えたSP(警護官)が配置されていた。岸田首相が冒頭発言として主に核軍縮について語り始め、かなりの時間が流れた。

20分以上がたち、質疑応答が始まる。すでに会見の予定終了時間を過ぎている。そこから日本メディアと外国メディアが交代で計4人指名された。「最初から質問者も問答内容も仕込まれているのではないか」と事前に聞いていたことが頭をよぎった。

質問した記者は全て、指名されたらすぐにマイクに向かえるよう、それぞれのエリアの列の端に「配置」されていた。回答する際に岸田首相は手元のペーパーを読み上げているように見えた。

岸田首相が帰ろうとしたその瞬間、前方から「逃げるんですか!」という怒号が響いた。続いて飛んだのは、核軍縮ビジョンについての質問だ。

それに対して岸田首相は何のペーパーも見ず、立板に水の如くやや専門的な用語も使いつつ回答した。しかし、会見に参加していた記者からはそれさえも「仕込みなのではないか」という疑問の声が上がっていたのは残念だった。

舛友 雄大 中国・東南アジア専門ジャーナリスト

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ますとも・たけひろ / Takehiro Masutomo

カリフォルニア大学国際関係修士。2010年中国メディアに入社後、日本を中心に国際報道を担当。2014年から2016年までシンガポール国立大学で研究員。

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