悪条件で高コスト覚悟の復旧工事、「復興構想会議」は民間の知恵と資金の動員が不可欠【震災関連速報】
中長期の復興策は、被災した人々に生きる希望を与える一方で、実現可能な内容でなければならない。県が市・町と協議しながら国に要望する形式が一番だろう。具体的には、農・水産業の振興と、医療・福祉に重点を置いた街づくり、防災を最優先にどう取り組んでいくか、その道筋が問われる。
太平洋沿岸が壊滅的な被害を受けただけに、まずは大量のがれき撤去の手順と、大津波の惨事を起こさせない街並みづくりがカギとなる。そのうえで、中長期の産業復興ビジョンが求められる。政府による「被災者生活支援特別対策本部」の5つのプロジェクトチームと、有識者による「復興構想会議」が工程表とビジョンを策定する重要な役割を担う。
要望を取捨選択する調整カギ
ゼネコンが注目する復興事業は、東北横断・三陸縦貫の両高規格道路の全通と、仙台平野などの農地改良、水産関連の港湾設備再建に向けた動きなどだ。こうした大規模な土木事業の推進には、数兆円単位の税金が必要となる。
ただ、大量のがれきに含まれるアスベストなど有害物質、高騰する資・機材の調達難、技術者不足といった悪条件から計画は見積もり段階で高コストが予想される。政府は限られた財政余力のなかで、東日本の広範な太平洋沿岸一帯を対象とするため、個別案件に予算が十分に配分できない懸念がある。よって、各被災地域の要望を取捨選択する調整が、効率的な予算配分のカギを握る。国と県、地元自治体と住民の間の合意形成は、難航が予想される。
行政が、震災の復旧・復興計画で、当事者間の合意を形成するには、民間の人材と資金を借りるしか手はない。そのために、復興庁を早期に新設し、民間人を登用しながら、税優遇・規制緩和特区の創設、土木系PFI・PPP推進など大胆な政策を実行すべきだ。「復興構想会議」のメンバーは、役人の発想を追認するのではなく、資材メーカー、建設関連業者、金融機関、シンクタンクなど民間の知恵を聞いて、これを生かすことを優先すべきだろう。
(古庄 英一 =東洋経済オンライン)
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