悪条件で高コスト覚悟の復旧工事、「復興構想会議」は民間の知恵と資金の動員が不可欠【震災関連速報】

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大震災の発生から1カ月。被災地では、街づくりの復興デザインを早期に明示することが、生きる希望の光となるとの声が上がる。震災特需を期待する向きは、建設株の急騰という形で現れた。復興の担い手でもある建設業界のこれまでの動向を振り返りつつ、被災地復興を模索する公共インフラ整備のあり方を探る。

地震と津波が起きた直後。公共インフラ関連の業界団体は、地区や加盟企業ごとにエリアを分けて、被災地への復旧支援に乗り出した。

土木業界は、全国の工事現場や保管場所にあった仮設ハウス、仮設トイレ、ゴムボート、テント、ストーブをかき集めて、被災地に送る準備を急ピッチで進めた。支援態勢は、業界団体と国土交通省が綿密に協議を重ねながら、個別企業が重複したエリアを支援しないように工夫した。

道路や鉄道など破壊された交通インフラの応急措置は、専門工事業者が活躍し、震災発生から10日間で道路が8割、鉄道が7割の比率で復旧にこぎつけた。被災地の原子力発電所や湾内のがれき除去など危険な作業では、現地で業務を請け負った経験のある建設会社が奮闘。仮設住宅建設の整地や、液状化対策工事でも、地元自治体の要請に基づき、さまざまな建設関連業者が、現地に資・機材を持ち込んで工事を行っている。

大手道路会社のある幹部は「こうした現地支援は採算度外視で対応した」と振り返る。「阪神淡路大震災や新潟中越地震の応急措置と同じで、具体的な工事契約を交わしている時間はない。あとで実費を受け取れれば御の字」とその幹部は語る。応急措置に伴う工事の代金が、国や自治体の2010年度予算の予備費などから支払われるかどうか、現段階で分からない。

実現可能な復興ビジョン必要

政府・与党は、近く1・5兆円規模の公共事業が盛り込まれた2011年度第1次補正予算を国会に提出する。公共事業は、被災地の生活再建と農業・港湾施設の復旧に充てられるとみられる。被災地の公共工事のうち中小案件は、仮設住宅建設や、がれきの除去を含めて、土地勘のある地元建設業者が請け負う場合がほとんどだ。

東京や大阪に本社がある総合建設会社(ゼネコン)が請け負う大規模な案件は、少し先の話となる。現在、ゼネコンは、東京などから人材を送って、官民の中・大型建造物の被災状況を中心に調査を行っている段階。これらの修復工事は、がれき撤去のメドが経ったエリアから始まるため、今年夏場以降から一部動き出しそうだ。

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