女子アナの交際報道が絶対にやまない複雑な理由 なぜ芸能人より"女子アナ狙い"なのか
単純接触効果とは、「繰り返し目や耳にするほど好印象を抱きやすい」というビジネスシーンでもしばしば使われる心理効果の1つ。その点、女性アナウンサーの多くが出演する帯番組は毎日繰り返し見られるため好印象を抱かれやすく、とくに笑顔の多い女性アナウンサーはその傾向があるといわれています。
さらにその好印象は恋愛対象としてのものだけではありません。親近感をベースにした両親、兄弟・姉妹、祖父母、友人のような目線の好印象もあり、だからこそ「交際報道があると気になって見てしまう」という人がいるのでしょう。
アナウンススキルは本当に低いのか?
逆に、女性アナウンサーがフィーチャーされることを嫌う人も少なくありません。嫌う理由が「一般人のくせに」などの稀有なポジションに関することなら仕方がないのですが、誤解を招きがちなのは「アナウンス能力がないのに」などのスキルに対する批判。
各局の女性アナウンサーは、一部のベテラン・中堅を除いて、「そのスキルを世間の人々から評価されている」とは言いづらいところがあります。ただ、制作現場では「視聴者が思っている以上に女性アナウンサーは評価されている」というケースのほうが多いものです。
たとえば、語彙とイントネーションにこだわり、さりげない気づかいを見せ、即興で時間を作り、出演者のコメントをフォローし、顔が見えないナレーションで裏から盛り上げる。とくに生放送で制作サイドの指示をこなしながら、秒単位で時間を調整していく様子はプロしかできないスキルといっていいでしょう。私が知る限り、アナウンサーの大半がこのようなスキルを持ち合わせています。
そのほか、インタビュー、リポート、体当たりロケなどの仕事では、さまざまな現場や出会いを経験して見聞を広げ、人間性を磨いていくこともスキルを磨くうえで大切なステップ。カメラが回っていないときの彼女たちはほかの局員以上に豊かな人間性の持ち主という印象があるものです。
そんな彼女たちのスキルと、その難しさが世間の人々にあまり理解されず、「完璧にできて当たり前」という高いハードルを課せられていることがネガティブな声につながっているのでしょう。
また、「つぶしが利きづらい専門職であること」も女性アナウンサーがフィーチャーされやすい一因となっています。
彼女たちは学生時代から入社後も専門的なスキルを磨き続けることを求められますが、ある40代後半のベテランアナウンサーですら「まだ足りないところが多い」「もっとうまくなりたい」と言っていました。
しかし、そんな彼女たちに待ち受けているのは、「伝えることの職人としてスキルを磨き続け、実績が増えていくにもかかわらず、それを発揮する機会は減っていく」という厳しい現実。「女子アナ30歳定年説」があった以前よりは良化したものの、今なお若さや見た目が人事の基準になっているところがあり、「専門職でありながらスキルを磨いても報われない」というケースが少なくないのです。
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