女子アナの交際報道が絶対にやまない複雑な理由 なぜ芸能人より"女子アナ狙い"なのか
長年、各出版社の週刊誌やウェブ版の関係者たちとやり取りを続けていますが、平成初期の“女子アナブーム”から30年が過ぎた令和の今なお、女性アナウンサーに対する“特別扱い”はほとんど変わっていません。
その最たる理由は、編集者や記者が「女性アナウンサーたちの潜在的な人気の高さ」に加えて、「いかに努力をしてきてスキルを培ってきたか」をよく知っているから。アナウンススクールから、ミスコン、タレントやモデルとしての活動、採用選考、新人研修、初鳴き(初めての放送)までの様子を大学生の頃から追いかけている編集部が多く、アナウンサーになる前の厳しい道のりを知っていることが彼女たちへの特別扱いにつながっています。
「数千倍」といわれる超難関の採用選考に挑む大学生たちは、各局主催のアナウンススクールに通って技術を高めるのは当たり前。さらに、メイクの勉強、歯列矯正やホワイトニング、髪のトリートメント、ダイエットやエステなど、まるで初期投資するように美貌を磨く人もいます。
また、日ごろから男性との写真撮影を避けたり、飲み会の参加を控えたり、SNSの投稿を慎重に行ったり、なかには「採用選考の前に恋人との別れを選んだ」という人もいました。もっとさかのぼると、「キー局のアナウンサーになりたいから出身者の多いこの大学を選んだ」という人も少なくないのです。
先日、選抜総選挙で“神7”に選ばれたこともある元AKB48の武藤十夢さんが懸命に準備していたにもかかわらず、キー局のアナウンサー採用試験にすべて落ちたことを明かして反響を集めたことからも、その難しさがうかがえます。
一方、採用する側のテレビ局は、アナウンススクールを運営して早い段階から育成をはじめているほか、採用選考にも注力。書類選考や面談はもちろん、セットや機材をそろえた本格的なカメラテストなどを行い、現役アナウンサーや役員が目を光らせる形で進めていきます。これだけ時間とお金をかけて行われているのは、女性アナウンサーはそれだけ局にとって特別なポジションだから。どこを見ても採用選考の段階から一般人の扱いではないのです。
「稀有なポジション」と「単純接触効果」
なぜ女性アナウンサーは一般人とは異なる特別扱いをされるのか。「日本では女性アナウンサーという職業が稀有なポジションにいるから」という背景もあります。
カメラが回っているときは、ほぼ芸能人だが、カットがかかった瞬間、一般人に戻る。アイドルのように、つねに笑顔と明るさが必須で、時に芸能人のような個性も求められるが、一般人としての意見を求められる機会も多い。制作サイドから「芸能人を立てて前に出すぎないように」と言われながらも、ボケを振られるほか、カレンダーなどが発売される。
「芸能人と一般人の間にいる」というより、「臨機応変に芸能人になったり、一般人に戻ったりする」というポジショニングの難しさが女性アナウンサーの価値を高めているのです。そんなポジションは芸能界にも一般企業にもないし、欧米には局員のアナウンサーそのものがほとんどいません。「ここまで露出の機会が多く、注目を集める会社員はいない」という希少性が交際報道などの特別扱いにつながっているのでしょう。
週刊誌の編集者や記者、あるいは芸能リポーターと話していると、「彼女たちは一般人だからこそ興味を持ってもらえる」「身近にいる手に届きそうで届かない高嶺の花くらいの感じがいいのだと思う」などの見解をよく聞きます。それは稀有なポジショニングや学生時代から自分を磨いてきたことに加えて、“単純接触効果”が得られるからでしょう。
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