「ゴミを出すのが怖い…」20代女性が抱いた"絶望" 「ゴミ屋敷」になりやすいのは意外なタイプの人

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依頼主の女性は自分の理想と現実の大きなギャップに苦しみ、1人で悩みを抱え込んでいた。周りの人たちも、まさか彼女がゴミ屋敷に住んでいるとは思っていないことだろう。

ゴミ屋敷の片付けを依頼するきっかけは、「火災報知器の点検が来るので」「大家が来るので」といった必要に駆られた理由がほとんどだ。しかし、この女性は自分で片付けることを決意し依頼してきた。

「周りは成長しているけど、私だけ成長していないことに気付いてしまって。結果、10年前とずっと状況が変わらなかった。いざどうすればいいのか悩んでいても、部屋を見せられない。隣に大家さんがいるけど、相談できない。どんどんどうしていいかわからなくなりました。イーブイさんの動画も含めてゴミの情報を見るのがすごく怖くて。ずっと見て見ぬふりをしている自分がいました。

でも、私はこういうことをしてしまう人間なんだって、ちゃんと向き合わないなといけないと思ったんです」

ゴミ屋敷の片付け後
ゴミ屋敷の片付け後
依頼主の女性が帰宅して目にした片付け後の部屋(写真:「イーブイ片付けチャンネル」より)

ゴミ屋敷からの脱却、再スタート

作業を開始してからたったの3時間で部屋はまっさらな状態になった。残っているのはパソコンと棚くらいだ。作業中は外に出ていた女性が部屋に戻ってきた。

ゴミ屋敷連載
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「すごい……広い……。5~6年ぶりです。ゴミやモノを寄せて、面積作ってという感じだったので、こんなにスッキリしたのは久しぶりです。再スタートが切れそうです」

かつては仕事から疲れて帰り、「私、こんなんじゃないのに」と思いながらゴミの中で眠っていた彼女の姿が目に浮かんだ。部屋と一緒にメンタルも解放されたようで何よりだ。

國友 公司 ルポライター

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くにとも こうじ / Kozi Kunitomo

1992年生まれ。筑波大学芸術専門学群在学中よりライターとして活動。訳アリな人々との現地での交流を綴った著書『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)が文庫版も合わせて6万部を超えるロングセラーに。そのほかの著書に『ルポ路上生活』(KADOKAWA)、『ルポ歌舞伎町』(彩図社)がある。

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