そもそも、専用カメラには欠点がある。よほどカメラが好きという人でなければ、日常的にカメラをカバンに忍ばせているという方はいない。いや、カメラが好きでカバンに忍ばせていたとしても、カバンの奥から取り出して撮影するまでには、精神的にも時間的にも壁が存在する。
CM1の良さはスマートフォンという、日常でもっとも身近で取り出しやすいところに携帯している機器が、スライドスイッチひとつで、言葉の通りそのままの”カメラ”になるところにある。
しかも、その場を”プリザーブ(保存)”するだけの描写力があり、暗い室内であっても写真として成立できるだけの高感度性能もある。複数枚の写真を連写・合成する本格的なハイダイナミックレンジ(HDR)撮影機能は、ふと気まぐれにその場の光を捉えたいという衝動に駆られた際には、嬉しい機能だ。いずれも高画質でならすスマートフォンの比ではない実力を持つ。
約12万円という価格は大きなハードルだが
それまで”よし撮影しよう”とまでは思わず、見逃していた場面、撮影しても無駄だと思っていた場面。そんなときに、躊躇なくカメラを構えてレリーズボタンを押下げる。そんな撮影機会の増加が、CM1がもたらすもっとも大きな価値だ。 もちろん、本機の約12万円という価格は大きなハードルだ。繰り返しになるが、同じセンサーを用いたプレミアムなコンパクトカメラが、ずっと安価に販売されている。
カメラとしての使いやすさも、レンズ周囲をダイヤルとしたコントロール部分や、複数回のアップデートでこなれたタッチパネルの操作性、ボリュームボタンを撮影パラメータ設定に反映する機能の追加など、工夫を重ねている。
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