煮込み用の鍋にごま油と5cmに切った豚バラ薄切り肉を入れ、弱火にかけます。フッ素樹脂加工されたフライパンと違い、加工されていない金属の鍋は肉がくっつく場合があります。それを防ぐために冷たい状態で肉を入れ、弱火でゆっくりとタンパク質を凝固させます。タンパク質が凝固してしまえば金属と結合しづらいからです。
豚バラ肉が白っぽくなったら玉ねぎを加え、火を中火に強め、さらに炒めます。玉ねぎから出た水分に含まれる糖分と豚バラ肉から溶出した水溶性のタンパク質が鍋肌で茶色く色づいてくるはずです。
そうなったら水を加えて、鍋肌の茶色い焦げを落とします。水の代わりにだし(昆布だし、かつおだし、あわせだしなどなんでもかまいません)を使うとうま味が強くなるので、ご飯との相性がよくなり、水だけでつくるとあっさり、すっきりとした味になります。このあたりは好みで選択してください。
ここで加えるのが砂糖です。そもそもなぜ肉じゃがには「みりん」を使うことが多いのでしょうか。それはみりんに含まれるアルコールにじゃがいもの煮崩れを防ぐ作用があるからです。肉じゃがには他に糸こんにゃくなどを入れることもありますが、こんにゃくのカルシウム分はペクチンと結びつき、煮崩れを防ぐ効果があります。
野菜が煮崩れせずに、角が立った仕上がりになるのを尊ぶのは日本料理の考え方ですが、肉じゃがのおいしさは表面がわずかに煮崩れし、口に入れるとほろりと崩れるやわらかさにあります。砂糖だけで煮込めばその仕上がりが得られるのです。
しょうゆ大さじ1を加えます。この段階で味見をすると「もう少し塩分量が欲しい……」と感じると思います。しかし、ここでしょうゆを全量入れてしまうと、加熱によって香り成分が飛んでしまうので、残りは後から加えましょう。
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