次に、「小売り・レストラン」については、予想外に弱い結果となった。
前述したように、今回のゴールデンウィークは「遠方」の需要は目立った一方で、「近場」の需要は振るわなかったようであり、近隣で買い物や外食をする動きは限定的だった模様である。また、実質賃金の目減りによって消費が抑制されている可能性が高く、財消費を目的とした人の移動は限定的だったのだろう。
最後に、「公園」のデータによると、前年と同程度だったことがわかった。あまり外出はせずに「超近場」(近所)で過ごした人も多かったのだろう。前述の議論と合わせて考えると、今年のGWは「遠方」への需要が一定程度あった一方で、「近場」への外出は避けられ、その結果「超近場」(近所)の需要も増えた、ということだろう。
これらの結果は、個人消費が二極化している可能性も示している。比較的余裕がある家計は「遠方」へ旅行した一方で、節約志向を強めた家計は前年よりも外出しなかったと考察できる。
インフレで実質賃金低下、小売りが弱かった
次に、人流データの解像度を上げて消費カテゴリーごとの人流データを確認する。具体的には「テーマパーク」「ホテル」「ショッピングセンター」「家電量販店」の4カテゴリーについて、大和証券の経済調査チームで主要な施設を選択し、人流データを集計した。
各カテゴリーの人流を整理すると、「テーマパーク」「ホテル」は前年と同程度をキープしたものの、「ショッピングセンター」「家電量販店」は明確に前年の水準を下回った。
ちょうど1年前の当コラムでも指摘したように(「ゴールデンウィークが『最後の宴』となったわけ」)、2022年のGWもかなり人出が多かったが、今年は一段とアフターコロナが意識される中で、「テーマパーク」や「ホテル」が前年を大きく上回るという期待があった。このことを考慮すると、期待値対比では物足りない印象である。
また、「ショッピングセンター」「家電量販店」はインフレ高進で実質賃金が目減りする中、予想された通りの弱さだったと言えるだろう。
一連の結果は、期待されたゴールデンウィークの消費は「前年並み」か、それ以下にとどまったと言え、事前の期待と比較すれば弱い結果だったとまとめられる。
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