広島マツダ「障害者マネ動画」の謝罪が酷すぎる訳 従業員が炎上、会社の対応が火に油を注いだ

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広島マツダその1
広島マツダの従業員による、「障害者を揶揄したかのような動画」がSNSで拡散。会社の広報対応が炎上に油を注いだ(画像:Twitterで拡散された実際の迷惑動画より)

自動車ディーラー・広島マツダの従業員が障害者を揶揄したかのような動画が先週、SNSで拡散した。作業着を着た従業員の男性が首を傾けながら電動車いすを操作し、周囲からは笑い声も聞こえた。

当然、この動画はSNSで大きな批判を浴びた。収まることのない批判を受け、広島マツダは謝罪文を公表した。だが、この謝罪文が「酷い」と「火に油を注ぐ」格好となり、批判はさらに高まったのだ。

誤解がないように先に述べておくが、今回取り上げる広島マツダはマツダ車を扱っているものの、マツダとは資本関係がない。だが、その一方でマツダ創業家が会長CEOであるという、独資でもかなり「特殊」な立ち位置のディーラーでもある。また、創業家が関わっている以上、消費者に「マツダ本体とは無関係だ」と受け取ってもらうのは難しいだろう。

このことを踏まえたうえで、今回の謝罪文の問題点はどこにあったのか。そして広島マツダはどのように対応すべきだったのか。企業の広報を支援している立場から解説していきたい。

「揶揄するつもりはなかった」との文言

時系列に沿って説明すると、発端は4月下旬にTikTokに当該の動画が投稿されたこと。同社の従業員が電動車いすに乗り、体に不自由のある障害者のマネをするような言動を取ったもので、周囲の人間と思われる笑い声も入っていた。

この動画がSNS上で批判を集めたことをうけ、4月30日に広島マツダは公式サイトに代表取締役社長の山根一郎氏の名前で謝罪文を掲載した。だが、企業広報の観点から見ると、この謝罪文は以下の2点で疑問を感じざるを得ないものだった。

(1)謝罪文の「文面」の問題点

(2)謝罪文の「名義」の問題点

まず最初に、(1)の「文面」そのものの問題点について。最も酷かったのは、次の一節だ。

本動画を撮影しSNS に投稿した従業員、動画に映っている従業員、および撮影時に周囲にいた従業員に対して事実確認を行ったところ、決して障害者を揶揄するつもりはなかったと申しておりますが、会社としては軽率な行動に対して厳重注意を行い、当該従業員も深く反省しております。

「障害者を揶揄するつもりはなかった」というのだが、他にどんな意図があったというのか。動画を見ると、どう見ても障害者を「揶揄するつもり」にしか見えないからだ。

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