世界は、なぜポリオ根絶を目指すのか

残された3カ国の課題とは?

2度目の出会いは、大学院生のとき。バングラデシュに住み込みで研究に行くため、事前に受けなければならなかった、たくさんの予防接種の中の一つに、ポリオワクチンがありました。

当時は、他の予防接種は全て注射で痛いのに、ポリオは飲むワクチンで10年間も有効なんだ、胃で消化されないのかな、と思った程度だったことを、よく覚えています。

© UNICEF/INDA2012-00435/SANDEEP BISWAS

その後、わたしはタイでも約3年間住み込みの研究をしていたのですが、バンコクでは身体的ハンディキャップを持つ人が路上で生活している風景に出会いました。

盲目の男性がテンポ良くカラオケをしていたり。ハンセン病患者と思われる、顔面の皮膚が大きくただれてしまった女性が、毛糸で編んだ繊細な人形を売っていたり。ポリオ患者と思われる、脚がやせ細り、膝や足首がかなり違う方向を向いてしまっている少年が見事な絵描きパフォーマンスをしてみせたり。

ポリオ患者は、手足に麻痺があらわれるため、腕や膝関節がかなり普通と違う方向を向いてしまい痛々しい体勢になっている人も少なくありません。このようなハンディキャップがあっても、結局は生きていかなければならない。生きていれば苦しいこともあるけれど楽しいこともあって、笑うこともある。そんな様子を見ると、身が引き締まる思いでした。

ポリオとの3度目の出会い

そして、それから数年経った2009年、私はポリオと3度目の出会いを果たします。私が外務省で保健医療政策を立案するという立場にあったときのことです。

ポリオが、世界で最も根絶に近い病気であることを知ったのです。

多くの人が知らない事実ですが、実はこれまで、人類が世界から根絶した病気は、天然痘たったの1つだけ。これだけ医療や技術が発達し、私たちの生活が便利になっても、病気を地球上からなくす、ということは、とても難しいことなのです。

そんな今、人類がその叡智を結集し、根絶しようとしている病気がポリオです。

次ページ過去26年間で99%も減少
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?
  • 就職四季報プラスワン
  • 仲人はミタ-婚活現場からのリアルボイス-
  • インフレが日本を救う
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
小野薬品vs.本庶京大教授<br>大型新薬めぐり深まる溝

本庶佑教授と小野薬品工業がタッグを組んで生み出したがん免疫治療薬「オプジーボ」。ところが、本庶氏が特許の正当な対価として150億円の支払いを求め、小野薬品工業を提訴する方針を固めた。両者の関係はなぜこじれてしまったのか。

  • 新刊
  • ランキング