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「徘徊のつもりない」認知症の人から見える世界 当事者はゴールだけを見ているとは限らない

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東京町田市にDAYS BLG!という団体がある。BLGは「Barriers Life Gathering」の略で、認知症の方々がボランティア活動などへ参加し、働くことを通して仲間と楽しい時間を過ごしたり、社会とのつながりをつくったりしていく、新しい形のデイサービスである。

私は本人ミーティングのような講演を目指すべく、DAYS BLG!代表の前田隆行さんに、若年性認知症の杉山さんという方にも講演会で話してもらえないだろうかとお願いすることにした。

「もちろん本人がOKしてくれれば全然構わないんだけど、やっぱり日によって浮き沈みがあるからなぁ。調子の波までは、さすがに私にも分からないんですよ」と、前田さんは淡々と話していた。

「本人の調子が良いときは本当に認知症の人なのかと疑われるほどスムーズに順序良く話してもらえるが、調子が悪いときは、話が変わったり、振出しに戻ったり。杉山さん頼むよ。任せたよ」なんて、笑いながら話している会話の内容は、認知症の人だからと区別も差別もしない素敵な関係の表れに感じた。

徘徊しているつもりはまったくありません

結局、一番近くでサポートしている前田さんが補足しながら当日の講演をリードしてもらう形でお二人に熊本まで来てもらえることになった。

そうして迎えた講演会当日、ありがたいことに杉山さんの体調はとても良かった。杉山さんは、少し緊張した足取りで舞台の中央に立った。

「『認知症の人は徘徊するものだ』とよく言われます。だけど、私たちは徘徊しているつもりはまったくありません。ただわからなくなっているだけなんです。もしかしたら私も10分後には、どうしてここに立っているのかわからなくなっているかもしれません」という杉山さんの冒頭の言葉に、聴衆が一気に引き込まれていくのがわかった。

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【巨大なミラーハウスに迷い込んだ感覚】

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