認知症介護で大変な「トイレの失敗」でのNG行動 「ごめんね」と「ありがとう」の2つがセット

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トイレの介護で大切なこと(写真:haku/PIXTA)
「認知症は自分の家族にはまだ関係ない」と感じていても、ある日突然やってくることがあります。いきなり介護をすることになって戸惑わないために、事前に備えておくことが重要です。理学療法士の川畑智さんが認知症ケアの現場で経験したエピソードをまとめた『さようならがくるまえに 認知症ケアの現場から』より、一部抜粋してお届けします。

「介護者の集い」で語られたエピソード

認知症の方を介護している家族というのは、とても疲弊しやすい。

だからその気持ちが少しでも楽になれるようにと、介護に関する情報の交換をしたり、苦労や悩みを本音で語り合ったりする場として、全国各地では「介護者の集い」というものが開かれている。年齢を問わず誰でも介護をしている人たちが参加できるもので、3カ月や半年に一度くらいのペースで、お茶会だったり、中には温泉施設を貸し切ったりなどして、各市町村や各団体がホッと心安らげる空間を提供しているのだ。

介護者の集いは、介護のOB・OGから学ぶための場でもあり、私たち介護の専門職の人間は、横でオブザーバーのような立ち位置で、介護者の集いを見守っている。

私が認知症のケアに携わり始めてまだ3年くらいの頃、ある介護者の集いで出会った家族の方のエピソードに私はとても感銘を受けた。

そしてそれは、私が認知症ケアの活動をしていくうえでの大切な指標として、今もなお心に深く強く根づいている。

「赤ちゃんのおむつを交換するのは全然いやじゃないのに、どうして大人はこんなにも臭いのかしら」という、トイレの失敗に関する話になった。その発言をきっかけに、赤ちゃんのウンチはヨーグルトみたいだけど大人のウンチは本当に臭いねとか、下剤を使ったときはドロドロになって目も当てられないとか、服を脱がすことができても、すぐに座ろうとするのを立たせなきゃいけないから本当にキツい、といった具合に、次々と皆さんのトイレエピソードが披露された。

これらのことは、介護をする人であれば、誰もが経験することであり、本当に、臭い・汚い・キツい、の3Kのオンパレードだ。「私、とてもじゃないけど介護できそうにないわ」と言う人すらいた。

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