認知症介護で大変な「トイレの失敗」でのNG行動 「ごめんね」と「ありがとう」の2つがセット

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「トイレの失敗を見つけたその瞬間は驚いちゃダメ。近づいて、気づかずにごめんなさいね、と謝ることが大事なんです。そして、早く着替えましょうね、脱いでくれてありがとうね、と今度はありがとうを伝えていけばいいんですよ」と話すその声に、気づけばその場にいた全員が聴き入っていた。

本人はせっかく出せてスッキリしたはずなのに、今度は排泄物に対していやな気分になってしまう。トイレに行きたいというSOSに気づけずにごめんなさいねと謝罪したら、今度はありがとうで攻めていく。

「この2つをセットで言わないと、介護がうまくいくはずはないと思います。介護の本質って、2回やってようやく見えてくるものじゃないかしら」と、すごく真っ直ぐな目で答えてくれた。

認知症の方の視点に立つ

私たちはトイレの介護をするうえで、服を脱がしきれいにしてはかせていく。これら一連の動きをプロとして当たり前に行っているので、わざわざごめんねとか、ありがとうなんて言うことを経験していないのだ。

むしろ、どうされました? 大丈夫ですか? 困りましたね、といった具合に、介護側の視点に立って、時間が取られるぞとか、大変なことが起きたなとか、思ったことを言葉にしていたのではないだろうか。そうではなく、認知症の方の視点に立たなければならないのだ。

今回、教科書のどこにも載っていないことを榎本さんに教えてもらった。医学書で学ぶことも大事だが、介護のOB・OGの方が一生懸命介護しながら得た経験に勝るものはない。

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