ゴーゴーカレーが資金繰り悪化から回復できた訳 「脱サラ起業」から海外展開実現の創業者がつづる

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ゴーゴーカレー(編集部撮影)
金沢カレーブームの火付け役とされるカレーチェーンを運営するゴーゴーカレーグループ。国内外に約100店舗を展開しており、4月17日にはサッカー元日本代表の本田圭佑氏​​が運用する個人資産ファンド「KSK Angel Fund, LLC」を主要株主に迎えたと発表しました。海外展開の強化を目論む同社ですが、資金繰りで苦しんだ時期もありました。創業者である宮森宏和氏の著書『カレーは世界を元気にします~金沢発! ゴーゴーカレー大躍進の秘密』より一部抜粋して紹介します。

場当たり的な経営であちこちに歪み

夢のニューヨーク進出を実現し、ご当地グルメブームにも乗って快進撃を続けるゴーゴーカレーは、ひんぱんにメディアに取り上げられるようになりました。しかし、世の中は甘くありません。2010年を過ぎた頃から、しだいにキャッシュフローが悪化し始めました。

1号店を出してから、イケイケドンドンの勢いで首都圏と北陸、そしてニューヨーク、さらには東南アジア圏を中心に店を増やしていきました。

とにかく店を増やせばいいという勢い任せの拡大路線。突貫工事でギリギリ開店期日に間に合わせた1号店のノリで場当たり的な経営を続けていたので、あちこちに歪みが出てきました。

店が増えると必然的に多くのスタッフを雇わなくてはいけません。しかし頭数さえ揃えば店が回るというものではありません。ゴーゴーのミッションやビジョンを熟知し、経験や技術を持ったスタッフがいなければ、不良店舗になってしまう。

店が生まれるたび、スタッフ不足を補うために優良店舗から力のあるスタッフを新規店舗に回すようになりました。こうなると、新規店舗側はなんとかなっても、引き抜かれた店のほうがガタついてしまう。

次から次へと店舗を増やすゴーゴーは、はた目にはものすごく勢いがあるように見えたかもしれません。しかしその実態は、闇雲に戦線を拡大しているだけで人材育成がまったく追いついていなかったのです。

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