【産業天気図・空運】米国ハリケーンがコスト削減努力吹き飛ばし『土砂降り』

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空運をめぐる経営環境は、3カ月前の前回特集時に比べて一段と悪化している。何といっても、ディープインパクトを与えたのが、米国を襲った史上最大級のハリケーン。メキシコ湾岸の石油精製基地の稼働率が落ち込んだために原油価格が高騰、つられて航空機の代表的な燃料であるシンガポール・ケロシンも6~7月時点の1バレル=70ドル前後から2割程度値上がりし、同80ドル台半ばに達している。日本の航空大手2社の期初の燃料油想定は、日本航空が同54ドル、全日本空輸が同57ドル。両社とも今期は年間使用量の70~80%をヘッジしてはいるが、日本航空で450億円だった燃料費コストアップ幅(予算比)は500億円超に、全日空でも185億円だった燃料費コストアップ幅(前期比)は285億円にそれぞれ拡大している。第1四半期業績発表の7月末時点で公表したコスト削減策では追いつかない。『雨』がさらに『嵐』に変わり、激しくたたきつけているという表現がふさわしい。
 航空会社のコスト削減努力が限界に近づく中、次の焦点は燃料油上昇分の運賃への転嫁だ。特に、フエルサーチャージと呼ばれる燃料油価格に連動した運賃特別付加が実施済みの国際線よりも、国内線での運賃動向が大きな注目を集めている。日本航空の新町敏行社長は来年初めにも国内線運賃の値上げを示唆しているが、全日空の山元峯生社長は将来の運賃値上げに含みを持たせながらも、早急な国内線値上げには慎重な姿勢だ。一方で新規参入組のスカイマークエアラインズは搭乗率向上による収益改善を目指し、大手とは逆に羽田−関空線の20%値下げを始め、全面的な価格競争に乗り出した。そうした状況下で、日本航空とスカイマークは第1四半期までを見る限り業績がやや低迷、全日空は『会社四季報』予想ベースでは増額含みとなるなど、企業間格差も広がっている。
【大滝俊一記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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