朝ドラ「らんまん」早々に不評の声が飛び出すワケ あえて“地味"で“差別"の物語が選ばれた背景
過去作との比較と想定内の物語
ここまでの放送で「不快」と並んで目立っていたのが、「地味」という声。
モデルとなった牧野富太郎さんと植物というテーマが、2010年以降に放送された「ゲゲゲの女房」の水木しげるさんと漫画、「カーネーション」のコシノ3姉妹とファッション、「マッサン」の竹鶴政孝さんとウイスキー製造、「あさが来た」の広岡浅子さんと女性実業家、「まんぷく」の安藤百福さんとラーメン、「エール」の古関裕而さんと作曲などと比べたとき、「地味」と感じている様子がうかがえます。
さらに、一般的に知られていない植物を前面に押し出していることも、その理由の1つかもしれません。「らんまん」は毎週のタイトルに植物の名前が使われていますが、第1週が「バイカオウレン」、第2週が「キンセイラン」で放送され、第3週以降も「ジョウロウホトトギス」「ササユリ」「キツネノカミソリ」などと続いていくことが明かされています。
ここまでは実際の花と名前が一致するものが少なく、花をドラマティックにフィーチャーする演出も数えられるほどであり、前述した過去作品のテーマと比べると、「地味」に見えているのではないでしょうか。
また、ネット上には「想定内の展開ばかり」「テンポが遅い」などの声が見られますが、これは母が亡くなったこと以外、大きな出来事が起きていないからであり、だからこそ「地味」と言われる理由の1つになっているのでしょう。
これらの書き込みには、「主人公は好感が持てるし、いい話なのかもしれない」と認めながらも、「『続きが見たい』という気持ちにならない」という本音も書き込まれていました。つまり、ここまでの「らんまん」は、「悪くはないんだけど良くもない」と感じる人が生まれやすい段階なのです。
共感必至な主人公のオタク気質
ただ、ここまでの物語は制作サイドが牧野富太郎さんの生涯を丁寧に描いている印象があり、波瀾万丈な人生が始まるのは、神木さんが登場するここから。この先、万太郎は土佐で「ジョン万次郎」こと中濱万次郎(宇崎竜童)らと対面するほか、上京して東京大学の研究室などでの出会いを重ねながら、植物を追究していく様子が描かれるようです。
歴史的偉人をモデルにした朝ドラの魅力は、「いい意味で物語の大枠がわかっている」こと。明治、大正、昭和と激動の時代を進んでいく中、万太郎がさまざまな新種を発見し、標本・観察記録・著作を手がけていく様子が描かれることは確定しています。のちに最愛の妻となる寿恵子(浜辺美波)との恋模様も含め、徐々に「地味」という言葉は消えていくのではないでしょうか。
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