家で話せても「外で固まる子」身体で起きている事 場面緘黙症と自閉スペクトラム症は何が違うか

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グレーゾーンの子どもが抱える問題とは(写真: yosan / PIXTA)
最近増えてきた発達障害あるいはグレーゾーンの子どもたち。生まれつきの脳機能の発達の偏りにより起こる障害で症状はさまざまですが、大声や奇声を発したり、暴言や、ときには自傷・他害行為に及ぶことも……。また、集団生活が苦手で、対人関係(コミュニケーション)がうまく築けないため、日常生活に困難が生じることも少なくありません。特別支援学級の教員である村田しのぶ氏の新著『発達障害&グレーゾーンの子どもが「1人でできる子」になる言葉のかけ方・伝え方』を一部抜粋・再構成し、お届けします。

発達障害あるいはグレーゾーンの子どもたちのなかには、言葉をまったく発しない子がいます。その症状の1つが「場面緘黙(ばめんかんもく)」です。

場面緘黙症とは、家族とは家庭で普通に話すことができるのに、特定の場面(保育園、幼稚園、学校、公共の場など)になると、なぜか声を出せなくなる不安障害のことです。

家では日常生活ができているのに、外に出ると不安や緊張が高まり、声を出せない状態になります。

動きたくても固まってしまう子

場面緘黙症の子どもは、自らの意志に反して、喜怒哀楽の感情を表せなかったり、動きたくても固まってしまい動けなかったり、教室でいっしょに給食を食べられないなど、いろいろな症状があります。不安に対する遺伝的な体質に加えて、脳機能の異常によって緘黙という症状が現れている、という報告もあります。

私たちには声の大きさを調整する聴覚機能が備わっています。しかし、場面緘黙症の子どもの多くは聴覚機能の調整が十分ではないため、自分の声が実際よりも大きく聴こえてしまい、自分の声を「変な声」と感じ、話しにくくなるのではないかと考えられています。

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