パパ活で「月収60万円」15歳少女の悲しい生い立ち 10歳から歌舞伎町通い、今はホームレス生活
「今、トー横キッズっていう集団が歌舞伎町にいて、すごいらしいよ」
「10代で家に帰らず、ネカフェで生活してる子もいるんだって」
「取材してみてよ」
トー横界隈に集まる少年少女たち「トー横キッズ」
ホームレスを取材している僕に、そんなふうに声をかけてくる人も少なくなかった。聞かされた時には興味を抱きつつも「へー」と受け流していたが、今まさに自分がいる場所こそが、そのトー横だった。目の前にあるトゲ状の突起は、若者が座り込んでたむろするのを防止する目的で、数年前に植え込みに付けられたものだったはずだ。
トー横界隈とも呼ばれる新宿東宝ビル周辺の地理をあらためて整理しておこう。ビルの西側は歌舞伎町一番街と呼ばれるエリアで、位置的には歌舞伎町の中心に近い。かつてコマ劇場前広場と呼ばれたシネシティ広場もビルの西側にあり、通りの両サイドは飲食店などの看板で埋め尽くされている。
一方、ビルを挟んで正反対に位置する東側には、僕がもたれかかっていた植え込みがある。このあたりも歌舞伎町の一角には違いないが、西側の派手な光景と比べると東側はわずかに“裏路地”の雰囲気が漂う。このトー横界隈に集まる少年少女たちは数年前から「トー横キッズ」と呼ばれており、警視庁による一斉補導などもニュースになっている。
トー横キッズ、か。
僕はそれまでの徒労感を振り払って、あらためて一帯を見回してみた。噂で聞いていたトー横という場所は、平日の昼間ということもあって人気はまばらだ。時折、お金で結ばれているであろう男女がホテル街に続く細い路地の方に消えていく。
しばらく周辺をうろうろしていると、閑散とした通りを1人の若い女の子がスマホを触りながら歩いて来る。僕は咄嗟に声をかけてみた。
「すみません。お姉さんはトー横キッズですか?」
突然かつ直球な質問にもかかわらず、僕の呼びかけに彼女は足を止め、スマホから顔を上げる。彼女の表情からは驚いたような様子は見受けられなかった。
「はい」
彼女はごく自然に僕の質問に答える。たったこれだけのやり取りから、路上で声をかけられることに慣れているのだろう、と僕は感じ取った。
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