「不確実な時代」に、何を選択して生きるべきか 「ミッション・ドリブン」なら迷うことはない
そんなときでも正しい選択をするためには、自分自身の指針を持つことです。そこで私は「ミッション・ドリブン」、すなわちミッション(使命)に突き動かされて進んでいく形でキャリアを選び、人生のチャプターを進めてきました。ミッション・ドリブンとは、ミッションを原動力にし、その軸で判断していくこととも言えます。
今の私のミッションは、「テクノロジーを使って、人を『なりたい自分』にさせてあげる」です。このミッションこそ私を動かし続ける原動力です。
実際に今していることが人助けになっているか、つねに照らし合わせるようにしています。日々の忙しさにおぼれたり、仕事と家庭の間のやりくりでまわりを見失いそうになったりしたときに、自分に問いただすことができます。
アカデミックな世界でロボット工学を研究していた私が、グーグルXにかかわることになったのも、まさにミッションを追っての選択でした。
ある日、1本の電話がかかってきたのです。
「グーグルから電話をしています。明日、本社まで面接に来てくれませんか」
「明日は大学の授業があるので来週でもいいですか」
「来週じゃなくて明日来てください」
「それは無理ですよ。シアトルに住んでいますし、明日なんて急すぎます」
「明日来てください。明日じゃなきゃだめです。明日来てくれたら、いいことが起こるかもしれませんよ」
このとき私はワシントン大学の助教をしていましたが、休講することに決めて、じっくり考える間もなく翌朝の飛行機に飛び乗りました。早急なグーグルのペースに巻き込まれたのと、驚きと好奇心に突き動かされたのと、どちらが強い気持ちだったのか? おそらくどちらもでしょう。
ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンの丁々発止
グーグル本社に到着すると、秘書に案内されたのはラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンのオフィスです。大企業の経営者ならそれぞれ立派な個室を持っていて当然なのに、スタンフォードの大学院で知り合って起業した2人はまるできょうだいのような関係で、同じオフィスをシェアしていました。秘書に連れられてオフィスの前まで行ったところで、ドアの向こうから、ものすごい声が聞こえてきました。
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