3年ぶり開催「eスポーツの大会」で見えた課題 3万5000人の来場を記録、10万人が配信視聴

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テクニカルライターの西川善司さんに伺ったところ「分配器やパススルー対応のキャプチャーボードの場合、遅延が発生することはほぼありません。バッファリングするタイプであれば、遅延の発生は起きますが、その場合、プロ選手でもなくとも素人でもわかるレベルの遅延が発生します。また、分配したどちらかのみ遅延するというのも考えにくいですね」とのこと。

つまり、ももち選手と席を交換して解消したと思われるのは、Punk選手の思い込みだという可能性もあるわけです。ただ、Punk選手の主張が言いがかりかというとそうでもないといえます。遅延が発生する余地が会場にはあったからです。それは操作遅延です。

遅延の理由は?

Punk選手はPlayStation 4の純正コントローラーであるDualShock 4を使用していますが、これはBluetoothによる無線接続とUSBによる有線接続ができます。DualShock 4を使っている選手はUSBケーブルで有線接続し、無線による遅延を解消しようと試みていますが、実はUSB接続しても無線接続になってしまうことがあります。

それはPlayStation 4の設定によってUSB接続したときにBluetoothを使うかUSBケーブルを使うかの選択ができるようになっているからです(CUH-ZCT2シリーズのみ)。この選択をBluetoothにしてしまうと、USBケーブルは充電、給電のみを行い、通信はしなくなります。

遅延についてスタッフに確認をとるPunk選手(筆者撮影)

つまりPunk選手はUSBケーブルで接続しているもののBluetoothでの接続となり、遅延が発生した可能性があります。この設定は頻繁に切り替えるものでもないので、事前にPunk選手が確認すべきというのは酷な気がします。

運営側があらかじめUSBケーブルでの接続の設定をしておくべき事案だったのではないでしょうか。

当時の設定がどのようなものだったかEVO Japanの運営事務局に問い合わせたところ「公式として何らかの形でご説明する可能性についてはあるものの、個別にお答えする予定はない」との回答を得ました。したがって、DualShock 4の接続によって遅延が発生したかの真相は藪の中といえます。

次ページほかにもサイドトーナメントで不手際が
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