しかし、結果的にその会社を数カ月で退職することになる。退職に至るまで主に2つの理由があったようだ。1つは、想定していなかった仕事の比重が大きくそれが非常に負荷がかかる仕事だったということ。
「チームのメンバーが産休に入ったことによって、予想していなかった業務を、私が引き受けることになったんです。その結果、もともと希望していた、ほかの業務にかける時間をあまり確保できない状況になってしまって。
もちろん私としても、希望の業務だけでなく、それ以外の業務が任される可能性があることを踏まえたうえでの転職だったのですが、思った以上にそちらに忙殺され……転職先でやりたいと思っていた『エンドユーザーのための機能改善を行う仕事』に向き合う時間がとれなくなったんです」
加えて、会社規模が大きいことによる社風の違いと、在宅勤務によるコミュニケーションの希薄さも影響した。
「出社していたらまた違ったと思うんですけど、障害やトラブルに対応したときも、淡々と業務に向き合い続けなければいけなくて、誰のためにやっているかわからなくなったんです。インタースペースは従業員間の距離が近い会社だったので、一緒に働く人の顔が想像できたり、部長や役員とも仲がよくて本音を共有できる間柄だったり、そういった環境に完全に慣れきってしまっていたんですよね。
一方で転職先は、インタースペースよりも社員数が4倍近い規模感で。距離感の遠さゆえか、自分自身が歯車の一部に感じてしまうこともありました」
胃が痛くなる毎日、区切りが見えた頃に元上司に相談
「もともとスキル不足を感じての転職だったので、新しい会社で『早く役に立てるようになりたい』という気持ちはつねにあって、焦ってはいましたし、頑張りたい気持ちも強かった。ただ、重圧が続いていて疲弊していました。精神的にかなりキツイ状態だったので、妻に悩みを打ち明けたり、元同僚に話を聞いてもらったりしていました。胃が痛くなる毎日でしたね」
このように苦しい日々が続いたが、関わっていたプロジェクトがひと段落するまでやりきると心に決めていた芦田さん。プロジェクトの区切りが見えてきた頃、元上司に相談した。インタースペース在籍時にキャリア相談にのってくれて、芦田さんを快く送り出してくれた人だ。
「上司と部下という枠組みを越えて、私自身のキャリアに向き合ってくれた人です。そろそろ転職考えてますと伝えたときも『ああ〜なるほどね。そういったキャリアを描きたいなら、たしかにウチだと難しいよね。転職したい気持ちわかるよ』という感じでフラットに話を聞いてくれていました。
だからこそ、新しい会社で退職を考えたときも、最初に頭に浮かんできて。オンライン飲み会をすることになって、かなり赤裸々に自分の状況を話しました。『ヤバいっす。転職失敗したっす。恥ずかしいですが、戻れる可能性があるなら戻りたいかもしれないです』と恥を忍んで伝えたところ、『素直に言えるのがあなたらしいよね。もしよかったら私から会社に聞いてみようか?』そんな流れになりました」
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