出戻り転職をしたことで、気づいた「人と人」がつながることの意義。また、キャリアへの向き合い方すら変わったというから驚きだ。
「インタースペースを辞めようと考えていたときは、欲張りだったのかもしれません。単純にほかの企業を見たい欲求だけでなく『もっと成長したい』『今の会社では身につけることが難しい、新しいスキルを得たい』と、“自分がなりたい像”に向かうために転職をしたい気持ちが強かったんです。将来を考えていたと言えば聞こえがいいですが、不必要に焦っていたのも事実でした。
でも、今は“自分が安心できる、スキルを発揮できる環境”で“自分が役に立つ方法はないだろうか”という視点に変わりました。成長したくなくなったわけではなく、いい意味で、将来より今を見られるようになったんです。
そして、今までよりも、周囲に目を向けられるようになったと思います。コロナ禍に転職し、同僚の顔が見えない環境で働いて『誰のために仕事を頑張ってるんだろう』と思ったことで、『仲間が喜んでくれることが、自分にとっていかに仕事をするうえでのモチベーションになっているか』に気づいたんですよね」
転職を通じて気づいた、「小さなこと」とその価値
「あなたは5年後、どんな自分になっていたいですか?」
自身のキャリアに真面目に向き合う人ほど、こういった質問に対して真剣に考えるものだ。
もちろんそれ自体はいいことなのだが、自分が能力を発揮できる環境というのは、比較してみないとわからないのかもしれないものであり、転職してから「自分が本当に求めていたもの」や「元いた会社のよさ」に気づく人は少なくない。結果、「この会社にいたままでは、自分は成長できない」と思って会社を辞めたかつての自分の行動を、悔やんでしまうこともある。
その点、芦田さんは転職を通じて、「自分が心地よい環境で、信頼できる人たちと仕事をする」「仲間が喜んでくれるために頑張る」ことの価値に気づいた。小さな気づきに思えるかもしれない。だが、仕事とは往々にして、目の前の小さなことをいかに大切にできるかによって、切り開ける将来が変わってくるものではないだろうか。
取材の最後、芦田さんはこう語った。
「今までの私は、新たなスキルを身につけることが自分にとって大切で、それができない会社に、部署にいることは、キャリア設計上の課題だと思っていました。もしかしたらいつの間にか「転職するためのもっともらしい理由」を探すようになっていたのかもしれません。『いかに幸せになるか』『いかに心地よく働くか』という観点で見たときに、本当は課題ではなかったんです。もし同じような状況で悩んで転職しようとしている人がいたら、止めると思います」
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