メディア大慌て「チャットボット」のヤバい影響 ニュースサイトを訪れる人が減るという恐怖
コンテンツの発行者と検索エンジンの関係は対等ではないが、おおむね双方に利益をもたらしてきた。検索サイトは検索結果に信頼できる情報源が表示されることがメリットになるし、発行者は検索エンジンが生み出すウェブサイトのトラフィックが収入につながっている。
メディアビジネスのニュースレター「ザ・リブーティング」を執筆するブライアン・モリッシーによると、グーグル検索がもたらすトラフィックは、多くのサイトでは全アクセスの半分以上を占めるという。
「検索は新聞・出版社のネット事業を支える大黒柱になっている」ということだ。
ネット業界「独り占め」へのギアチェンジ
新聞社ガネットの検索・製品担当ディレクター、カイル・サットンも、これまでは、検索エンジンと新聞・出版社の関係は双方にメリットをもたらすものになっていたと話した。
「あらゆる検索結果は私たちのデータから取ってきたもので、こちら側から見れば、私たちのコンテンツを巡回し、私たちのコンテンツをかき集めたものだが、私たちのサイトのトラフィックが増えるというリターンがそこにはある。なので、私たちとしては第1に、その関係が維持されることを望んでいる」とサットンは言う。
その一方で、デジタルニュースブランド「インサイダー」の社長バーバラ・ペングは、新しいAIツールによって状況が一変する可能性があると話す。マイクロソフトは同社の検索エンジンBingにチャットボットを組み込み、グーグルの検索チャットボットBardは同社のメインの検索エンジンとは別に展開されている。
ペングは、「これは革命的なものになる」と述べ、こう続けた。「時間はかかるだろうし、かなりの誇大宣伝も散見される。それでも、人々が情報を見つけ、消費するときの(メディアとの)関係は変わることになると思う」。
何年にもわたりテック企業にニュースコンテンツへの支払いを求める動きを主導してきたニューズ・コーポレーションのCEOロバート・トムソンは、インタビューの中で次のように述べた。「早い段階で打って出て、何が問題で、何が義務なのかを明確にしておかなければ、防戦一方になってしまう」。