メディア大慌て「チャットボット」のヤバい影響 ニュースサイトを訪れる人が減るという恐怖
AIチャットボットが結果を生成するのに利用した新聞・出版社のコンテンツに対しテック企業は使用料を支払うべきだ、とトムソンは言う。チャットボットは、ネット上の情報を合成して結果を生成する。
トムソンはまた、コンテンツの利用について「数社」と協議を進めていると話したが、相手の企業名は明らかにしなかった。ニューズ・コーポレーションは「ウォール・ストリート・ジャーナル」や「ニューヨーク・ポスト」などを傘下に抱える。
「協議が必要だという認識は先方にもある」とトムソン。
「ヴォーグ」「ヴァニティ・フェア」「グラマー」などを所有するコンデナストのCEOロジャー・リンチも、コンテンツクリエーターには報酬が支払われるべきだという立場で一致する。
チャットボットの登場にプラス面があるとすれば
チャットボットの登場が新聞・出版社にもたらすプラス面の1つは、ネット上で信頼できる情報を知るのが難しくなったことに利用者がやがて気づき、「信頼できる情報源にアクセスしなければならなくなる」状況が生まれることだ、とリンチは語った。
「ニューヨーク・タイムズ」を含め世界から2000を超す新聞社や出版社が加盟する業界団体ニュース・メディア・アライアンスは、業界を守るべく、AIシステムの利用と開発の指針となるべき原則と、それに関する規制づくりに取り組んでいる。原則の草案は、AI開発のためのコンテンツ使用には「交渉による合意と明示的な許可」が必要という内容になっている。
同ガイドラインはまた、テック企業に対し、高品質で信頼できるジャーナリズムのコンテンツとブランドに「十分な価値を提供する」ことを求め、AIについて著作権法に例外を設けるような新しい法律や規制は、新聞・出版社に対する保護を弱めるものであってはならないとしている。
マイクロソフトのBing責任者ユスフ・メディはインタビューで、利用者を新聞・出版社のサイトに誘導することが「最大の目標」だと語った。新しいBingは公開から2カ月もたっていないにもかかわらず、データは「私たちが実際に新聞・出版社へのトラフィックを増やしたことをすでに示している」と言う。