子育て政策の為に「健康保険料」引き上げる大問題 筋違いのところに負担を求めようとしている

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この拠出金は、以前は「児童手当拠出金」という名称だった。児童手当制度が始まった1972年から存在する。

拠出金率は、2014年度には0.15%であった。子ども・子育て支援改正法が施行された2015年度以降、「子ども・子育て拠出金」という名称に変更された。料率も段階的に引き上げられ、2018年度には0.29%になった。2019年度には0.34%に引き上げられた。現在は0.36%となっている。0.45%までは、政令で引き上げが可能だ。

拠出金は、年金保険料とともに日本年金機構によって徴収され、年金特別会計の「子ども・子育て支援勘定」で経理される。2022年度では、拠出金0.65兆円のほか、一般会計からの受け入れ2.49兆円などがあり、児童手当交付金1.26兆円、子ども・子育て支援推進費1.63兆円などの財源となっている。

これは、結局のところ、法人税と同じようなものだ。法人税の増税とすると目につくので、こうした方策が取られたのだろう。

法人の活動に影響がないとは言えない

このように極めて問題が多い仕組みなのだが、料率もそれほど高くはないし、直接に負担するのが事業主や会社であることから、あまり大きな問題にはならなかった。しかし、法人の活動に影響がないとは言えない。

厚生年金の雇用主負担が重すぎることが、従業員を増やさない大きな原因になっていることは否定できない。それに加えて、なぜ負担しなければならないのかがはっきりしない拠出金を求められては、従業員を増やす意欲はさらに削がれるだろう。中小企業や零細企業の場合にはとくにそうだ。

このように全く正当化できないおかしな制度が、日本の財政制度の中にすでに入り込んでしまっているのだ。

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