「ひとり親家庭はずるい」PTA活動で生まれる分断 昭和から進化ない「ナゾ役職」や強制参加の憂鬱
「行事に参加できないと連絡すると『仕事って、都合のいい言い訳ですね』と返されました。ひとり親に『勝手に離婚したんやろ。わがままや』と陰で言う人もいました」
弁護士ドットコムニュースがLINEでPTAに関する体験談を募集すると、PTAと子ども会の役員を経験した自営業の女性から、このような声が寄せられた。
地域差はあるものの、役員に選ばれやすいのは、自営業や公務員。慣習や内部規定で性別が決められている役職もあるという。
役職決めをめぐり保護者同士に軋轢(あつれき)が生じる背景には、昭和感満載の変われないPTAの姿があった。
「仕事って、都合のいい言い訳ですね」
北陸地方在住で自営業をしている鈴木さん(仮名・40代女性)は、第2子が小学6年生のころにPTAと地区の子ども会の役員に選ばれた。コロナ禍になる前の2019年のことだ。
いずれの役員も小6の保護者から選ばれる。PTAは前任者の指名で決まり、地区の子ども会は順番にまわってくる。
たまたま、その年に2つの役員が重なった。役員は公務員や自営業が選ばれることが多く、指名されて断る人はいなかったという。診療所で働く医師が会長に選ばれたこともある。
鈴木さんを特に悩ませたのは、子ども会の活動だった。子どもたちが祭りや行事に参加できなくなるため、「入会しない保護者はいない」と語る。入学とともにLINEグループへの招待がきて、承認とともに「入会」したとみなされるという。
経営している店の定休日は月曜日と第3日曜日。卓球やかるた大会など、ほとんどの行事に参加できたものの、どうしても行けない行事があった。地区の一大イベントで、朝9時から夜21時までの長時間拘束を余儀なくされる祭りだ。
約50人が参加するグループLINEに「仕事の都合で参加が難しい」と連絡すると「仕事って、都合のいい言い訳ですね」と返されたという。
「この発言をしたのは、土日休みの仕事をしている女性でした。卒業後も地域内で会う機会はありましたが、挨拶をしても無視されています」(鈴木さん)