大谷翔平も違反「ピッチクロック」が導入された訳 開幕戦では昨年より試合時間が短縮される効果

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マリナーズ対エンゼルス 1回裏マリナーズ1死二塁、打者ローリーの時、ピッチクロック違反を取られる大谷(写真:菅敏)

今季からメジャーでも正式に導入された「ピッチクロック」が、開幕以来、いろんな形で話題を集めています。

5日のマリナーズ戦に先発したエンゼルス大谷翔平投手は、マウンドに上がった1回、走者を置いて20秒以内に投球動作に入らなかったと違反を取られ、「ボール」を宣告されました。打者としても6回の第3打席に、残り8秒までに打席で構えていなかったと判断され、「ストライク」を宣告されました。

両リーグともDHとなった現在、投打で違反した初の選手となったのも、「二刀流」の大谷ならではでした。もっとも、違反後は投手として三振を奪い、打者として四球で出塁するなど、違反の影響を感じさせなかったのはさすがです。

その一方で、勝敗を左右しかねないケースもありそうです。4日の「パドレス-ダイヤモンドバックス戦」では、初回、パドレスの3番マチャドがフルカウントから「ストライク」を宣告されて三振。その後、審判に暴言を吐いたとして退場処分を受けました。映像によると、打撃用の手袋を締め直していたマチャドは、直前に手を挙げてタイムを要求。ところが、球審がその動作を見逃したようで、納得のいかないマチャドが捨てゼリフを吐いたというのが実情のようです。得点源の主砲を欠いたパドレスは逆転負けを喫したこともあり、何とも後味の悪い試合となりました。

大谷以外でも、アスレチックス藤浪晋太郎投手、メッツ千賀滉大投手が、ともに初登板で1回ずつ違反を取られるなど、「ピッチクロック」の影響はいたるところで出ています。

ダルビッシュ有投手の率直な感想

4日に今季初勝利を挙げたブルージェイズ菊池雄星投手の場合、テンポアップが好投の一因ともみられています。シュナイダー監督は「ピッチクロックのおかげもあり、投球動作がスムーズになった」と話しており、プラス効果を生む場合もありそうです。また、3月30日の開幕戦では、全15試合の平均時間が2時間45分と、昨年の開幕戦より26分短縮されるなど、一定の効果をもたらしています。

となると、最終的には慣れるしかないのかもしれません。WBCの侍ジャパンに合流した影響もあり、ピッチクロックへの対応が遅れ気味だったパドレスのダルビッシュ有投手は、4日の初登板後、率直な感想を残しました。

「公式戦で初めてだったので、ちょっと不安はあったし、常にピッチクロックを見ながらやらないといけないという感じだった。最初はみんなそう言っていたので、自分もまだそういう段階かなという感じはしました」

現時点では残り時間を確認する必要があっても、今後、15秒や20秒の感覚を体が覚えていけば、自然にテンポが良くなるという意味合いでしょうか。

投手も打者も対応を強いられている新ルールの「ピッチクロック」。

最大の目的とされる「ファン層の拡大」につながることを願うばかりです。

(四竈衛)

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