台湾カリスマ経営者の政界リベンジが起こす波乱 強すぎる親中イメージ、公認の獲得は難しい

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鴻海精密工業創業者の郭台銘氏
台湾総統選に再び出馬を表明した郭台銘氏。写真は2014年(撮影:尾形文繁)

「台湾には、すばらしいCEO(最高経営責任者)が必要だ」

4月5日、台湾の鴻海精密工業の創業者として知られる郭台銘(かく・たいめい、テリー・ゴウ)氏は2024年1月の台湾総統選挙に出馬する意向を表明した。最大野党、中国国民党(国民党)で公認の獲得を目指す。

総統選に再チャレンジ

「戦争の回避はリーダーの責任だ。台湾が(中国との)戦争を回避するためにはまず米中対立の解消が必要であり、民進党に政権を取らせてはいけない」。アメリカから台湾に帰国した際の会見で、郭氏は総統選出馬への思いを訴えた。

郭氏にとって、総統選への出馬は再チャレンジとなる。2020年の前回の総統選でも出馬を表明したが、当時は国民党内の選考で高雄市長だった韓国瑜(かん・こくゆ)氏に敗れ、立候補が叶わなかった。

鴻海精密工業は日本の電機大手・シャープの親会社であり、世界最大の電子機器製造受託サービス(EMS)企業だ。アップルのiPhoneやソニーのプレイステーションをはじめ、多くの電子機器の製造を受託していることで知られ、2022年の売上高は6兆6219億ニュー台湾ドル(約29兆円)にのぼる。

郭氏は前回の総統選出馬にあたり、鴻海のトップを退いたが、一代で世界のエレクトロニクス産業を支える鴻海帝国を築き上げたカリスマ経営者である。そんなカリスマ経営者でも台湾政界進出の壁は高かった。前回の総統選では、国民党に指名されなかったことに不満を抱き、同党を激しく非難して離党。第3政党の台湾民衆党など他党の支援に回り、国民党内から批判を招いた。

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