台湾カリスマ経営者の政界リベンジが起こす波乱 強すぎる親中イメージ、公認の獲得は難しい

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テリー・ゴウ氏
2020年の総統選挙では国民党の公認を得られなかったことを不満に離党。テリー・ゴウ氏(写真右)は第3の候補者だった親民党の宋楚瑜氏の支援も行った。(記者撮影)

5日の会見では「4年前に国民党を離党し、多くの人を失望させた」と語り、同党やその関係者たちに対して「申し訳なかった」と深々と頭を下げて謝罪する一幕もあった。

いまだに国民党内では郭氏を「裏切り者」(国民党地方幹部)として警戒する声はある。郭氏もそれを意識して、仮に自身が候補指名を獲得できなくても、国民党が公認した候補の勝利を全力で支えるとして、党内の支持獲得のためにわざわざ踏み込んだ言及を行った。

有力視されているのは別の人物

国民党は今後行う世論調査の結果を参考に、党執行部が総統候補者を指名する予定だ。郭氏は会見の中で、世論調査の電話を受けたときには「郭台銘だけを支持すると答えてほしい」と呼びかけた。

しかし、実際に指名を獲得するのは難しそうだ。現在、国民党で総統候補として最も有力視されているのは新北市長の侯友宜(こう・ゆうぎ)氏。侯氏はまだ正式に出馬表明していないが、最新の各種世論調査でも郭氏の支持率を10~20ポイント上回る。

台湾政治や選挙に詳しい小笠原欣幸・東京外国語大学名誉教授は「出馬表明したことで郭台銘氏のニュースが多く流れるので支持率が上昇する可能性はあるが、国民党支持者の支持をまとめきれておらず、侯友宜氏を追い抜くのは難しい」と指摘する。

侯氏は昨年11月の地方選で新北市長に再選されたばかりで、総統選に早々と出馬表明すれば「市政を投げ出すのか」と批判を浴びかねない。また警察官僚出身で地方行政に従事し続けたことから外交には疎いという弱点もある。

台湾の総統選挙では対米・対中関係で説得力あるビジョンを打ち出せるかが焦点のひとつであり、準備不足で臨めば前回総統選で大敗した韓国瑜氏と同じく政治生命に大きな打撃となりかねない。出馬するかも含めてタイミングを見計らっている状態だ。

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