なぜ今、神田昌典氏は「読書会」を推すのか? 明治維新の原動力も、読書会にあった!

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――その突破口が読書会ということですか。

そうですね。読書会は具体的な行動を起こすきっかけになります。アメリカの統計によると、変容型のマインドであるトランスフォーメーショナルマインドを持っている人は、人口の約1~2%しかいません。成功体験を持ちながらも発想が柔軟で、自分の殻を破って成長し続けようとします。この人たちが「変革リーダー」です。

変革型の人は、それぞれ孤立している

次に、そこに移行するポテンシャルを持った、過渡期の人が7~8%ほどいます。あとは、自分の過去の成功体験をベースに物事を考えていく人たちです。新しい方法を試そうとはしません。多くの会社ではこの人たちが上司になりますから、トランスフォーメーショナルマインドを持った若手は会社にいづらくなって、外に出てしまいます。

――変革リーダーは、社内ではなかなか評価されないのですね。

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大抵の場合は評価されません。会社の中では「宇宙人」とか「不思議ちゃん」とか言われています。組織にいながら、自分は人と違っているのではないか、変わっているのではないかと感じています。

でも、こういう人たちは、組織の外に出た瞬間にものすごい能力を発揮します。たとえば、われわれの読書会の中核となっているのは、元ソニーの社員の方です。全国を飛び回り、行政と共に「まちヨミ」という読書会を開いています。今年は44回、行われる予定です。

われわれの読書会には変革マインドを持った人たちが集まってきます。変革マインドのある人は、企業にも役所にもいます。読書会に来てみると、自分と同じことを考えている人たちがいる。それで、「自分たちは変わっているかもしれないけど、やるしかないよね」となり、行動につながっていくのです。

そもそも、みんなが本を読まない今の時代に、読書をすること自体が変わっていますよね。厚い本を読んで、自分の人生や社会について深く考え、それを会社の中で分かち合える人がどれだけいるでしょうか。吉田松陰も、今で言う変革リーダーだったのだと思います。

――吉田松陰も時代が下って評価されたわけですから、変革リーダーを見極めて活用するのは難しそうです。

変革マインドを持った人をきちんと活かせる組織は、ブレークすることができます。ネスレや日産自動車のように、変革型のリーダーをトップに据えられる企業は成長します。しかし、多くの組織ではそれができません。時代が大きく変わるときには、変革型リーダーが求められます。今の日本では、変革マインドを持った人たちが能力を発揮できる社会を作っていかなくてはならないと思います。

※後編につづく

 

仲宇佐 ゆり フリーライター

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なかうさ ゆり / Yuri Nakausa

週刊誌のカルチャーページの編集・執筆を経て、美術展、ラジオ、本などについて取材、執筆。全国の美術館と温泉をめぐり歩いている。

 

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