なぜ今、神田昌典氏は「読書会」を推すのか? 明治維新の原動力も、読書会にあった!

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――暗記ではなく、考える力をつける教育は、まだ主流になっていないようですが、それはなぜだと思いますか。

多くの人たちの頭の中のフォーマットが、変わっていないからです。文科省も考える教育を進めようとしていますが、親は自分の受けた教育をベースに子供の教育を考えますから、自分の理解できないものには恐れを感じ、抵抗します。時代は明治に変わったのに、江戸時代の価値観で生きているようなものです。浸透するには時間がかかります。

むしろ、発展途上国のほうがスピーディに変化しています。パキスタンでは、「マインドマップ」を考案したトニー・ブザン先生が「バタフライ・プロジェクト」を行っています(バタフライ・プロジェクト:通常なら無視できると思われるような極めて小さな動きが、やがては無視できない大きな変化となる現象のこと)。

2万人が収容できるスタジアムに子供を集め、ブザン先生が講義をして、その様子をホログラフィーで記録します。この映像を使って、スタジアムに来られなかった子どもたちにも考える教育をします。わずか数年で何百万人もの子供たちがマインドマップを使えるようになるという計画です。

テクノロジーが安価になった今、「先進国に追いつくには、考える教育が必要だ」という明確なビジョンを持っている途上国のほうが、われわれより速く動くことができ、教育先進国になっているわけです。

日本に今、必要なのは、エリート教育

――では、日本の私たちはどう変わっていくべきなのでしょうか。

今はエリート教育が必要だと思います。決められたカリキュラムを教えるのではなく、知識、個性、一人ひとりの適性に応じて何をどう提供していくか、考える型の教育にシフトしていかなくてはなりません。

たとえば、TED(Technology Entertainment Design)の映像を見てディスカッションすることも有効ですね。世の中には無料でも教えたいという人がたくさんいます。教育のコストを下げたいなら、教育をもっと開かれたものにするべきです。

今はハーバード大学のMOOC(Massive Open Online Course)の映像を見れば、誰でも世界最先端の授業が受けられます。そうなると学校の果たす役割も変わってくるでしょう。今、私が主催する「Read For Action」×MOOCという組み合わせも考えています。MOOCで教授の話を聞き、その教授の本を読む読書会をするのです。このように、今はいろいろな方法が可能になっているにもかかわらず、肝心の人々のマインドが変わっていないのです。

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