「部下が動かない」管理職に共通するNGワード 不安で自信のない部下に何と伝えるべきか
そもそも「君ならできる」というのは、なぜそう思うのかという根拠を添える必要がない、言いっぱなしで許される語感を持っています。すなわち、誰でも、いつでも、特に根拠がなくても使える、上司にとって極めて都合の良い気合いの言葉なのです。
それでも、これまで、「君ならできる」が通用したのは、雇用が保証されて職業人生に不安がない時代だったからです。上司に対して忠実に役割を果たしておけば立場が保証されているからこそ、部下はそこまで言ってくれる上司の期待に応えようとするのです。
そこで、上司側にも、「君ならできる」と言っておけば部下はやってくれるだろうという甘えが生まれ、「君ならできる」「やってみます」という気合いの応酬で仕事が成り立っていました。
ところが、時代とともに雇用や処遇の保証がなくなりつつあります。自分の能力や成長に不安を持ち、このままで自分は大丈夫だろうかと、ネガティブに考えてしまう人が増えてきました。そのような人たちは、何の根拠もなしに「君ならできる」と言われたところで何も変わりません。
部下に示すべきは「君だからできる」の根拠
上司が本当に部下を信じているのであれば、かけるべき言葉は「君だからできる」です。「君だからできる」には、言いっぱなしではなく、その根拠を言わざるを得ない語感があるからです。
「この前も自分で考えたアイデアを実現した君だから、そんな君だからこそ私はできると思っている」「これまで地道に業務改善を行ってきた君だからできると思う」「失敗から本質的な顧客ニーズの重要性を学んだ君だから、そんな君だからこそ、私はできると思っている」
「君ならできる」とその場のノリで言いっぱなしにされる場合と違って、なぜそう思うのかといった根拠を伴う上司の「君だからできる」によって、部下は自分でも気づいていなかった能力や成長を自覚し、「できるかも」と感じます。
米国系企業に勤めていたときの私の上司だった米国人のM氏は、私に仕事を依頼するときには難易度が高ければ高いほど、”You are the best person, because……(あなたがこの仕事に最もふさわしい人だ。なぜならば……)”と、そう思う根拠を真剣に語ってくれていました。
自分でも忘れていたようなことまで覚えていて、自分のことをよく見てくれているという安心感とともに、そこまで言われるならと、全力で応えようという気になっていくのです。
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