自らオーナーシップを持って学ぶための「問い」 忙しくても自家発電できる人が最強な理由
では、何をするのか? それは簡単なリサーチスキルと資料作成方法を伝えたうえで、あとは生徒に自分でその業界を調べてもらい、その課題と可能性をプレゼンしてもらうだけ。リサーチとプレゼンの繰り返しを重ねていくのです。
もちろん、プレゼンの内容そのものは、それほど深いものにはなりません。まだビジネスが何たるかも十分に理解していない大学1年生ですから、そこは仕方ないでしょう。本来であれば、そこは教員が教えたほうが早いのかもしれませんが、あえてそこは教えずに、手を動かしてもらうのです。
素朴な問いは、脆くはかないもの
ここで、教員である私の存在意義は、学生たちの「疑問の発見」をお手伝いすることにあります。調べていくと否が応でもいろいろな事実に触れることになる。そうすれば、「これって何だろう?」「なぜこうなっちゃっているのだろう?」「何でこんな簡単な問題が解決されていないの?」という素朴な疑問が湧いてくるのです。意識しないとすぐに日常のノイズの中で消え去ってしまうくらいの弱い疑問です。
そんな弱い疑問が浮かび上がった時にしっかり言葉にしてもらい、ちょっと形を整えて、その疑問を承認して後押しする。これが教員である私の役割です。
このようなシチュエーションで気をつけなくてはならないのは、いきなり高尚な問いを求めない、ということです。良い問いの条件は「その問いの答えを本人が本気で知りたいか?」のみ。これを満たしていればいいのです。
素朴な疑問でスタートしたとしても、その疑問に本気で向き合っていけば、その疑問はやがて具体的になり、社会性を帯び、先行研究を踏まえ、そして検証可能な形に着地していくでしょう。
最初から「良い問いの要件がある」と考えてしまうと、「素朴な疑問」そのものが押しつぶされてしまうからです。
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