【特集・G7サミットでのウクライナ支援(第4回)】
2009年のピッツバーグG20サミットで、当時のアメリカ大統領だったバラク・オバマ氏はG7がG20によってとって代わられるだろうと宣言し、それが「国際経済協力における最重要なフォーラム」になると規定した。G20の登場は、国際舞台における首脳間のフォーラムを考えるうえでの重要な歴史的転換点となり、グローバルなレベルでの議題設定において、とりわけ非西洋諸国の新興経済諸国が発言権を持つ機会を提供することになった。
ところが、オバマ氏がG20の重要性に言及した後に、トランプ大統領が登場すると、G7を指して「時代遅れの諸国のグループだ」とののしった。実際に、G7が始まったときに世界経済の70%を占めていたのが、2016年になるとそれが47%まで低下している。トランプ大統領は、NATOの中核的な目標に疑問を抱いていたし、またその後継のバイデン大統領は「民主主義サミット」のようなイニシアティブによって、いくつかのパートナー諸国を疎外してきた。
ここでは、現在の国際環境の中での潮流変化のなかで、アメリカがG7という比較的小規模なネットワークを用いて、いかにして自らの影響力を拡大することができるか、またグローバルなリーダーとしての信頼を回復することができるかを論じていく。
G7諸国の内側での分裂
ウクライナ侵攻が喚起した危機認識の増大によって、ロシアに対してアメリカと西ヨーロッパが結束する必要が急速に拡大している。だが、ウクライナ戦争勃発後のG7諸国の内側でのこのような結束は、必ずしも他の領域での協調の深化につながっていくことはなかった。それはどういうことだろうか。
現実には、NATO加盟国として欧州諸国もロシアの侵略に対抗してウクライナを支援しているものの、物質的な支援は圧倒的にアメリカからのものである。もちろん欧州諸国も、弾薬や、レオパルト2や、榴弾砲などを前線へと提供しているが、しばしばその支援の実施には時間がかかっている。
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