ポーランドは当初、F16型戦闘機の提供に躊躇を示しており、そもそも提供するには保有数があまりに少ないと弁明した。またドイツは、国防費を1000億ユーロへと増加させるという防衛政策の歴史的な転換を示したものの、新しい防衛大臣はドイツの軍事力を近代化するには50年ほどの時間が必要だと言及せざるをえなかった。
このように、ウクライナ支援にもっとも大きな貢献をしているのはアメリカである。確かにアメリカ議会の議員たちは、議会で支援策を可決させるのは次第に難しくなっていると論じ、いくつかの選挙区ではその必要性が理解されないと嘆いている。これはとりわけ、共和党の場合にあてはまり、昨年3月には80%がそれに賛成だったのが、現在ではその支持が55%にまで低下している。
さらにアメリカ国内では対中強硬派がアメリカの資源をロシアに対してではなく、中国に対して向けるべきだと論じている。太平洋を跨いでロシアと中国とこのように優先順位の差異化を図ることで、アメリカは国内的に可能な範囲でウクライナ支援を継続することが求められながらも、ヨーロッパ諸国がロシアに対して共同してその支援を増大させていくように促している。
「攻撃的」「深刻な、対決的な脅威」
このようにヨーロッパのウクライナ支援を増加させる必要があることを前提に、アメリカの大統領には同盟諸国との関係を強化していくことが求められている。だが、対外政策と国内政策との優先順位を調整することに、あまりにも多くの労力を割いているというのが現実だ。
アメリカの有権者たちが国内問題を優先するよう圧力をかけており、バイデン大統領は「中間層のための対外政策」というスローガンのもとで、より保護主義的な政策を強いられている。それは実際にはトランプ大統領の「アメリカ第一主義」のかたちを変えた継続であろう。
現実にそれはインフレ抑制法(IRA)や、国内半導体産業保護のためのCHIPS法へと帰結し、ヨーロッパやアジアにおけるアメリカのパートナー諸国の怒りを誘っている。フランス大統領のエマニュエル・マクロンはインフレ抑制法を「きわめて攻撃的だ」と批判し、またイギリス財務相のジェレミー・ハントはそれを「とても深刻な、対決的な脅威である」と称した。
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