成年後見は高齢者の財産を守っているのか大疑問 支援を求めたのに大事な資産を失った90歳女性

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泣き寝入りする人も少なくない

後に斉藤さんは知人の協力でその弁護士との任意後見契約を解除し、公正証書遺言を撤回。介護事業所も変更した。弁護士は「交渉の経緯は、1つずつ丁寧に説明してきたので、ショックを受けています」と話す。目黒区社協は、「個人情報等の観点から考えましても第三者にお話しすることはできません」と回答した。

成年後見制度の相談を受ける一般社団法人「後見の杜(もり)」の宮内康二代表は、こう話す。「成年後見制度は、高齢化が進む日本社会で必要な制度。しかし、促進ばかりがいわれ、運用面で問題が多い。苦情窓口もなく、現状では泣き寝入りする人も少なくありません」。

今回、斉藤さんが取材に応じたのは、自ら経験した事実を多くの人に知ってもらいたかったからだという。

「みんな『あなたのため』と言って近づいてきた。本当に怖い」

西岡 千史 ライター

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にしおか・ゆきふみ

1979年、高知県生まれ。早稲田大学第二文学部卒。「THE JOURNAL」「週刊朝日」「AERA dot.」編集部を経て、現在はフリーランス記者。

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