住宅ローン「終わらない金利競争」の果てに 3メガバンクが向き合う攻防は「金利外」へ

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週刊東洋経済2015年4月18日号(4月13日発売)の特集は『金融異変』です。世界経済を覆い尽くす低金利にあえぐ金融機関の実態と展望を全38ページで追いました。 購入はこちら

「専門拠点で一括して対応することで業務を効率化し、コストを圧縮しているから」(みずほ銀行ローン業務開発部の山口雅央調査役)できたことだ。1年弱ぐらい前から準備を進め、都内に専門拠点を立ち上げ、20人弱ぐらいの担当者が、電話やメール、郵送などで手続きを進めている。従来、各営業店でかかっていた借り換え手続きの手間を、専門拠点で集中してできるため、事務の生産性が上がり、コストが下げられるので、その分、金利を引き下げられた。

4月13日から三井住友が取扱を始めたのが、連生団体信用生命保険付き住宅ローン「クロスサポ-ト」。夫婦で一つの家の住宅ローンを借り、どちらかが亡くなったときに、その残高がゼロになるという商品だ。住宅金融支援機構や楽天銀行、スルガ銀行などが同様の商品を扱っているが、メガバンクでは初となる。

共働き世帯を狙う

たとえば3000万円の住宅ローンを、夫1500万円、妻1500万円で借りていたとする。通常であれば、夫が亡くなったとき、妻のローンはそのまま残る。しかし、クロスサポートなら夫婦ともにローン残高がゼロとなる。

三井住友は、共働きの夫婦が一つの住宅ローンを借りるというケースが、住宅ローン全体の2割弱いると認識。その比率は最近いちだんと上昇している。そうした共働き夫婦には、「夫か妻のどちらかに、将来、万一のことがあったら不安という声があり、それに備える形で商品を開発した」(三井住友銀行ローン商品グループの加藤敦士グループ長)という。

住宅ローン金利はいま、メガバンクより低いレートを提示する銀行が少なくない。大手行でも、三井住友信託銀行は10年固定が年0.85%とメガバンクより0.35~0.4%低い。ネット銀行などの新興銀行だとさらに低い。変動金利で、ソニー銀行は0.539%、イオン銀行は0.57%、住信SBIネット銀行は0.65%など。住信SBIは5年固定を年0.57%と、変動よりも低く設定している。日本銀行の貸出支援制度を利用することにより、資金を低利で調達できているからだ。

ただし、住宅ローンの顧客満足度調査を行っているJ.D.パワーの中尾柳太郎マネージャーは「金利だけでは顧客は満足しない」と指摘する。調査によれば、契約手続きが簡単かとか、付帯サービスが豊富かといった、金利以外の内容が満足度に影響を与えているという。

こうした顧客のニーズに合わせる形で、多くの金融機関が、疾病補償や自然災害に対応した補償などの付帯サービスを拡充している。ただし、それらの付帯サービスの大半は、追加的な費用の支払いを要するもの。顧客が支払う費用の一部は銀行の収益にもなっている。付帯サービスを付ける際は、そのサービスが本当に自分にとって必要かどうかよく考えて付けたいものだ。

福田 淳 東洋経済 記者

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ふくだ じゅん / Jun Fukuda

『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などを経て編集局記者。

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