学生は「自分の好きなこと」を徹底的に極めよ バランスよく勉強をしても役に立たない

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私自身、社会に出た際に不要と判断した科目の勉強なんぞまったくしていません。逆に必要であると判断したものに関しては、学校の範囲内だけでなく、海外の教科書をネットで取り寄せたり、関連するセミナーに行ってみたりと、力を入れました。今でも、当時捨てた科目は私の人生に関係してくることがありません。そして、自ら選択したものは相変わらず自分の芯となっています。

しかし、とりわけ親の世代(失礼!)では、「総合」や「横並び意識」にこだわる方が多いのが現状でしょう。こういった思考は、勉強にかかわることだけではありません。小学校の給食で好きなものだけを食べると、しかられたものです。

そういった、なんでも平均的な総合思考や、皆と一緒のことをよしとする横並び意識だけで生きていると、自分の人生にとって重要な、たとえば「自分の個性とは?」「夢とは?」ということを考える機会が失われてしまうのではないでしょうか。

何かにとことん集中した経験は無駄にならない

仕事をしていると、楽しんでいる人とそうでない人に遭遇します。前者は、自分で能動的に自分の興味や強みに従ってキャリアを選択してきた人たちなのでしょう。後者はもしかすると、生きるうえでの正解があり、それは誰かが与えてくれるものだという前提の下に、受け身で周りに流されてきてしまった人たちなのかもしれません。

全体にバランスよくできる人は、学校の成績表においてオール5という評価を受けます。これは高い評価ですが、社会で必要なのはオール5ではありません。エッジの利いた武器を持っているか否か、つまり専門性がまずは求められます。

もちろん、自分の興味がわからない段階で過度に専門性を追求する必要はありません。その場合は将来の選択肢をできるだけ幅広くとっておけるように、いろいろと経験をしてみるのも手です。しかしながら、新子さんの場合は、少なくとも現時点における自分の信じる道があるのですから、それにとことん注力してください。

とことん突き詰めないと、自分にとってそれが本当に向いている分野であるか否かを判断できません。少なくとも大学生は、まだ失敗できる年齢なので、やってみて興味が移ればそれはそれでもいいのです。何かにとことん集中した経験は、この先の人生で大きく役に立つものだと思います。人生とは決断と選択の連続であり、つねに勇気が求められるからです。新子さんが、今後もご自身の信じる道で人生を切り開かれるであろうことを、心より応援しております。

※安井さんへのキャリア相談は、こちらまでお送りください。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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