日本の「100円コーヒー」に外国人が驚愕する真因 マクドナルドのコーヒーを軽視する人が知らない事実

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生きるための飲み食いは別ですが、サービス業としての飲食の本質は体験の提供ではないでしょうか。スペシャルな体験を提供するために、相応の価格をつけるのが本当です。そうでなければ、お客さんも提供者側も豊かになれないのです。

スペシャルティコーヒーとコモディティコーヒーは、別のものです。そもそも、スペシャルティコーヒーは、大量生産・大量消費のカウンターカルチャーとして出てきているのです。コモディティコーヒーのビジネスモデルに追従するのではなく、高付加価値のビジネスモデルから学ぶ必要があると思います。

そう考えると、スペシャルティコーヒーを500円や600円で提供することには、賛同できません。100円コーヒーと同じ土俵に乗ったら、当然、比較されます。スペシャルティコーヒーは確かに品質がいいし、美味しいでしょう。しかし、100円コーヒーがすでに充分美味しいのです。果たして、その5倍や6倍美味しいと言えるでしょうか?

判断が難しいと言わざるをえません。そうではなく、付加価値を設けてスペシャルティコーヒーの土俵でやっていかなければ、薄利多売の相当厳しい世界になるはずです。

100円のものもあれば、1万円のものもあっていい

そもそも、コーヒーを含め嗜好品は価格の幅があってしかるべきです。100円のものもあれば、1万円のものもあっていいのです。ワインだって、1本が数百円のものから数百万円、数千万円の超高級ワインまでありますよね。

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日本は、高付加価値の高額商品が浸透しにくいのが難しいところです。消費者が「コスパ」を重視しすぎると、精神的にも物質的にも豊かさから遠のくのではないかと考えます。コーヒーの本質的な価値は「精神の解放」だと思っている私は、コスパというキーワードにせっかくのコーヒーがからめ捕られてしまうことに歯がゆい気持ちになります。

成功しているビジネスは付加価値の創造がうまいのです。ブランド化による単価アップと言ってもいいでしょう。

たとえば、アップルのiPodはソニーのウォークマンに出遅れながらも、魅せ方を工夫してシェアを奪いました。iPhoneは電話器に、思いもかけなかった「インターネット」という付加価値をつけることで、市場の構造そのものを変えました。

コーヒーはもちろん、飲食業を中心に、インバウンドが増えるこれからはますます、日本企業も、もっと値付けに大胆である必要があると思います。

井崎 英典 第15代ワールド・バリスタ・チャンピオン、QAHWA代表取締役社長

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いざき ひでのり / Hidenori Izaki

1990年生まれ。2012年に史上最年少でジャパン・バリスタ・チャンピオンシップにて優勝し、2連覇を成し遂げた後、2014年のワールド・バリスタ・チャンピオンシップにてアジア人初の世界チャンピオンとなり、以後独立。現在はコーヒーコンサルタントとしてグローバルに活動。日本マクドナルドの「プレミアムローストコーヒー」「プレミアムローストアイスコーヒー」「新生ラテ」の監修、中国最大のコーヒーチェーン「luckin coffee」の商品開発や品質管理なども担当。

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