日本の「100円コーヒー」に外国人が驚愕する真因 マクドナルドのコーヒーを軽視する人が知らない事実

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もし私がマクドナルドの100円コーヒーを監修した際、手を抜いて、マクドナルド側の試作品をその場で飲んで「一番美味しいコーヒー」を決めていたらどうなっていたでしょうか。おそらく、その「一番美味しいコーヒー」は「井崎英典にとって一番美味しいコーヒー」でしかなく、「マクドナルドユーザーが求めているコーヒー」ではなかったでしょう。

マクドナルドやコンビニチェーン各社のコーヒーの違いを比較して、優劣をつけているインフルエンサーなどもいますが、私に言わせればナンセンスです。それぞれの客層や企業側の狙いに合わせた、それぞれのバリューがあるのです。

マクドナルドの場合は、ハンバーガーとポテトに合い、冷めても比較的味が落ちないコーヒーが必要でした。詳しくは伏せますが、さらにほかにも重視すべきバリューを洗い出して、開発は進みました。

結果的に、マクドナルドのコーヒーは劇的に変わりました。100円プレミアムコーヒーのシェアを大きく奪い返し、成功したのです。

コンビニコーヒーとマクドナルドのコーヒー、どちらが美味しいかということではなく、それぞれに合ったコーヒーがあり、きちんと価値を出せれば結果がついてくるのです。

もちろん、突き抜けたセンスがヒットを飛ばすこともあるでしょうが、基本的には、あらゆる商品・サービスの開発は、市場研究から入るべき、というのがビジネスの前提となる考え方です。

ヒットには理由があり、その理由を事前に仮説として立てるのがあるべき筋道です。

なぜ100円でプレミアムコーヒーが提供できるのか?

ところで、高品質のプレミアムコーヒーをたった100円ほどで提供できるのはなぜでしょうか。

高品質のコーヒー豆を使えば原価率が上昇し、利益が出ないのが普通です。

しかし、コンビニにとって美味しいコーヒーは(言い方は悪いかもしれませんが)撒き餌のようなもの。身近なコンビニで手軽に美味しいコーヒーが飲めるなら、お客さんはやってきます。そして、コーヒーと一緒にサンドイッチを買う。お弁当を買う。デザートを買う。ついでにいろいろ買うでしょう。コーヒー目当てで足を運んでもらえればいいのです。つまり、コーヒーは「販売促進費」と考えることができます。

次ページ下手にコストカットに手を出して味を落としてはいけない
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