日本の「100円コーヒー」に外国人が驚愕する真因 マクドナルドのコーヒーを軽視する人が知らない事実

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いまではお忘れの方も多いですが、100円プレミアムコーヒーの先駆者は、日本マクドナルドです。2008年に100円で飲める本格コーヒーを提供し始め、大人気になりました。それまでより高品質のコーヒー豆を使用し、全店に専用のコーヒーメーカーを置き、大々的に宣伝したのです。これにより発売初年度は前年比3割増の2億6000万杯を売り上げたといいます。

私もコーヒーのプロたちと一緒に飲みに行きましたが、「これはやばい」と衝撃が走ったのを覚えています。

しかし、その後、日本マクドナルドは期限切れの鶏肉や食品への異物混入などのトラブルがあり、信用は失墜。そこへセブン-イレブンの「100円コーヒー」が登場し、完全に100円プレミアムコーヒーの市場は塗り替えられてしまいました。以降、100円コーヒーといえばセブン、というイメージが根付きます。

マクドナルドのコーヒーは何が違うのか?

危機に陥った日本マクドナルドでしたが、地道に信頼を回復するための手を打ち続け、2016年頃には業績も回復。再びコーヒーの品質改善に取り組みたいということで、ありがたいことに私に声がかかりました。

私がコンサルティングをする際は、まず現場に張りついてこの目で見ることから始めます。お客さんがどういうふうにコーヒーを飲んでいるか観察するところからスタートするのです。

マクドナルドの場合、現場を見る前は、お客さんはコーヒーを単体で飲むか、アップルパイなどの甘いものとペアリングして飲むかの2パターンが多いのではないかと思っていました。

ところが違いました。一番多いのはセットメニューでコーヒーを選ぶケースだったのです。マックでコーヒーを楽しむ人からすれば当たり前のことかもしれませんが、コーヒーの常識からはなかなか考えられないコンビネーションです。ということは、ハンバーガーやポテトを食べながら同時に楽しめるコーヒーにする必要があります。

次に多いのが、これは予想どおりですが、コーヒー単体でゆっくり過ごすお客さんでした。本を読むなどして比較的長い時間滞在しています。

これはコンビニコーヒーとはまったく違うところです。よって、味の設計はコンビニコーヒーと違うものになるはずです。時間が経っても味の変化が少なく、冷めても美味しいコーヒーであることが重要になります。

何度も言ってきたように、味は主観的なものです。好みによって選択が変わるため、基本的には「どれが一番美味しいか」というのは難しい問題です。

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