ホンダ「N-VAN」電動コンバート車、実用化の難題 既存車種の電動化でEV普及は加速できるのか
冒頭で紹介したとおり、ホンダは同じN-VANをベースとした新型の軽EVを、2024年春に発売することを予定している。ホンダの発表によれば、こちらは「航続距離200km」を目指しているという。もし、その数値が実現すれば、今回披露されたMEVバン コンセプトの航続距離75kmはその半分以下。また、新型の軽EVは、価格も「ガソリン車と同等の100万円台からの設定」にするという。そうなると、今回発表された既販のガソリン車を電動化するシステムは、導入費用がかなり安価でない限り、新型を購入したほうが利便性も含め、お得ということになるだろう。
また、ホンダの担当者によれば、例えば、同社の「ステップワゴン」といったミニバンへの搭載は、「現状は出力が少なすぎるため、ニーズがないだろう」とのこと。ただし、「N-BOXなどの軽自動車であれば、他車種への流用は可能」とのことだが、これについてもバッテリーの搭載により「居住性が犠牲になる」というデメリットがあるという。つまり、一般ユーザーが使う乗用車タイプの場合は、各車種の魅力がスポイルされてしまうのだ。
現状での用途は限定的、将来的なニーズはあるのか?
そう考えると、企業向け以外では、なかなか使い方が限定されそうだが、例えば、ホンダが開発中の新型EVでは、今回のような着脱式可搬バッテリーではなく、おそらく車体固定式のより大容量なバッテリーを使うだろう。この場合は、充電時間が長くなることを覚悟する必要がある。もし、前述のバッテリー交換ステーションが、ある程度さまざまなエリアに普及し、手軽にシェアリングサービスが利用できるようになれば、確かに小口搬送業者などには利便性が高くなることは間違いない。
カーボンニュートラルを実現するまでの期間を縮めるには、すでに街中を走る圧倒的な数のガソリン車を電動化するという選択肢も十分ありうるのは確かだ。メーカーがこれから発売するEVモデルが、かなり爆発的に売れたとしても、急速にガソリン車の数が減少するとは考えにくいからだ。そういった面でいえば、こういった電動化システムもニーズはあるのかもしれない。
いずれにしろ、システム自体の導入コストと、充電インフラの普及という課題をいかにクリアできるかが、今回発表された新システムの実用化における鍵になりそうだ。
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