ホンダ「N-VAN」電動コンバート車、実用化の難題 既存車種の電動化でEV普及は加速できるのか

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スライドドアとセンターピラーレス
スライドドアとセンターピラーレスによる大開口部(写真:本田技研工業)

また、後席側の左右ドアには開閉が楽なスライド式を採用するとともに、助手席側をピラーレスとすることで、橫からでも荷物を積みやすいことも魅力。小口配送などの商用から、通勤や買い物といった普段使い、キャンプなどのレジャーまで、幅広い用途で使えることで人気を博しているモデルだ。

試作車となるMEV-VAN Conceptの概要

MEV-VAN Concept
試作車として展示されたMEV-VAN Concept(筆者撮影)

そんなN-VANをベースに、前述のとおり、ガソリンエンジンを取りはずし、電動モーターやバッテリーを搭載しているのがMEVバン コンセプトだ。助手席側の前方ドアと後方スライドドアが開かれた展示車の室内を覗くと、荷室中央部に設置されたカバーが上げてあり、中の床下スペースに小型バッテリーが並んでいるのがわかる。これは2輪車メーカーでもあるホンダが、電動ビジネスバイク「ジャイロ キャノピーe:(GYRO CANOPY e: )」などに採用している着脱式可搬バッテリー「モバイルパワーパックe:(Honda Mobile Power Pack e:)」だ。

モバイルパワーパックe:
搭載されている着脱式可搬バッテリー「モバイルパワーパックe:」(筆者撮影)

電動バイクなどの車体が比較的小さなモビリティにも搭載できる軽量・コンパクトなリチウムイオンバッテリーは、最大外寸が高さ298mm×幅177.3mm×奥行き156.3mm、重量10.3kg。充電は‪AC100VやAC200Vコンセントに‬対応する専用充電器を使い、‪約4時間‬で‪ゼロから満充電まで‬可能。また、着脱できるため、駐車場など野外に充電用コンセントがない場合は、屋内に持ち運んでの充電もできる。

モバイルパワーパックe:
車体に搭載されたモバイルパワーパックe:(筆者撮影)

試作車では、床下の左右にわかれたバッテリー収納スペースに片側4個、計8個を搭載している。なお、8個を合計したバッテリーの最大出力は20kWだ。また、パワーユニットには、駆動用の電動モーター、電力を制御するインバーター、走行状況に応じてモーター回転数を制御する減速用ギアを一体化した「イーアクスル(eAxle)」という小型タイプを採用。前輪側と後輪側へ2つのユニットを搭載しながら、N-VANの特徴であるフラットで広い荷室はそのまま。なお、駆動方式はフルタイム4WDとなる。

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