日韓関係の改善へ突き進んだ、尹錫悦大統領の意志 1998年「金大中・小渕宣言」当時の日韓関係を目指した

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尹大統領と岸田文雄首相の初会合は2022年6月、スペインでのNATO(北大西洋条機構)首脳会議だった。そして尹大統領が同年9月、ニューヨークでの国連総会への出席を利用した際には、会談の開催を巡る意見対立により30分の略式会談にとどまった。このように、日韓関係改善に向けた尹大統領の思惑は簡単に進まなかった。

日本側も、政治家は選挙への影響などを考慮して、国内世論が敏感に反応する日韓関係の改善を速やかに進めることはできず、結果、両国間の懸案は解決されないままだった。

ところが、2022年11月にカンボジアのプノンペンで行われた日韓首脳会談は、ニューヨークでの会談当時と比べ、相対的に和やかな雰囲気の中、進められた。両首脳は元徴用工問題を速やかに解決すべきということで同意し、インド太平洋地域での連帯強化も確認した。

2022年11月が解決への起点

2023年に入り、両国は最大の懸案だった元徴用工問題について水面下での調整を行い、これにより日韓関係は重大な分水嶺を迎えることになった。

尹大統領が「日本は協力できるパートナー」と指摘した3月1日の演説に続き、韓国は3月6日に元徴用工らに解決策として「第三者弁済方式」を公式に発表した。被告となっている日本企業の拠出と謝罪が保障されていなくても、韓国政府としては日韓関係のためにはこれ以上の代案はないと判断した。

韓国大統領室周辺では、3月下旬に日韓首脳会談が行われる可能性が取り沙汰されていた。3月9日、日韓双方が尹大統領の1泊2日による訪日を同時発表し、首脳会談開催が既定路線となった。大統領室関係者は、「今回の会談は両国関係を正常化する出発点」という。

韓国の最大野党「共に民主党」は3月16日、日韓首脳会談について「屈従外交の極み」と批判した。一方、与党「国民の力」は「安保、経済危機の突破口とするための決断であり、共同繁栄の新時代が開かれた」と評価した。

共に民主党の安浩栄(アン・ホヨン)首席報道官は「日韓両国首脳が会ったが、元徴用工問題に対する日本政府の謝罪はなかった。屈従外交となった会談は、国民にとって恥ずかしいだけだ」と批判した。

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