「元徴用工問題」解決策出した韓国と日本の決定差 「決められない」岸田氏を待っていられなかった

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韓国大統領
元徴用工問題の解決策をついに発表した韓国。背景には尹錫悦大統領の強い意志と信念があった(写真:SeongJoon Cho/Bloomberg)

韓国の朴振外相が3月6日、戦時中の元徴用工問題を解決するための計画を発表したことは、リーダーシップと戦略的決断力の賜物であろう。しかし、この”勝利”は、岸田文雄首相と同政権が示した臆病さ、政治的慎重さとは対照的に、韓国と尹錫悦大統領の政府によるものであったことはほぼ間違いない。

報道では、日韓関係を過去数十年で最悪のレベルにまで悪化させたこの深い対立を解決するために、韓国と日本が「合意」したと説明されている。とはいえ実際には、戦時中に日本の鉱山や工場で強制労働させられた生存者に対し、韓国政府が一方的に補償を行うと宣言したものであり、日本側の参加は一切見えない。

日本政府との関係を正常化するという深い信念

韓国外相の発言は、日本との関係を正常化し、改善することが不可欠であるという尹政府の深い信念を反映している。昨年春に当選した尹氏が掲げたこの目標は、ウクライナ戦争や北朝鮮の攻撃的な姿勢に端を発した危機感の高まりや、中国に対する懸念の高まりによって、より一層深化している。

「これは、懸案の難問を解決するための正しい解決策であり、尹大統領の非常に勇気ある政治的決断だと思う」と、韓日関係の仲介に重要な役割を果たした元駐日韓国大使の柳明桓氏は語る。「日本との重要な二国間関係を回復させたのは、すべて彼の功績と言えるだろう」。

日本政府は確かにこの宣言を歓迎し、アメリカのジョー・バイデン大統領もまた歓迎した。アメリカは、ここ数カ月で目に見えるようになった安全保障協力への道を開くために、この問題を解決するよう両国を促し続けてきた。ミサイル防衛のための合同軍事演習など、三国間の連携を強化するための小さなステップが行われているが、歴史問題の解決はその先に進むためのカギなるのかもしれない。

両外務省の関係者は、昨年夏からこの解決策の核心部分について交渉してきたが、それぞれの立場の重要な溝を埋めることができなかった。その際、韓国政府は専門家の助言を受けながら、被害者の代理人弁護士と協議し、「日帝強制動員被害者」への補償を行うために韓国政府が2014年に設立した既存の基金を利用する考えに至った。

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