シリコンバレー銀破綻「不幸中の幸い」で終わるか 金利リスクの衝撃で中堅以下銀行にも規制強化

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今回のSVBと同様、1980年代に高インフレと金利急上昇でバランスシート悪化や収益の逆ざや問題が生じ、多くの破綻劇を生んだS&L(貯蓄貸付組合)危機。このときは、最終的に1990年代半ばまでに1600行以上が破綻したが、当時は、アメリカ発の世界的な金融自由化の流れの中で、S&Lにもハイリスクな融資を可能とするなどの規制緩和を同時に進めていた。そのことが結果的にS&L危機を長期化させ、傷口を広げたと現在では総括されている。

このような過去の事例を考えれば、利上げ途中での規制強化は、新たな金融危機の芽を摘む効果を持つかもしれない。

素早い危機対応が目立つFRBと金融業界

目下、FRBはSVB破綻を受け、リーマンショックやコロナ禍初期の金融危機時を上回るほどの金融市場への流動性供給を展開している。

さらに、アメリカ大手銀行各行が、預金流出が続いた中堅銀行ファースト・リパブリック銀行に流動性支援をしたり、スイス国立銀行(中銀)が経営難に陥っているクレディ。スイスに最大約7兆円強の流動性供給を表明したりするなど、信用不安の鎮圧に向けた取り組みは本格化している。

はたしてSVB破綻は、「不幸中の幸い」として終わることになるのか。早期の金融システム不安の鎮圧が望まれる。

野村 明弘 東洋経済 解説部コラムニスト

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のむら あきひろ / Akihiro Nomura

編集局解説部長。日本経済や財政・年金・社会保障、金融政策を中心に担当。業界担当記者としては、通信・ITや自動車、金融などの担当を歴任。経済学や道徳哲学の勉強が好きで、イギリスのケンブリッジ経済学派を中心に古典を読みあさってきた。『週刊東洋経済』編集部時代には「行動経済学」「不確実性の経済学」「ピケティ完全理解」などの特集を執筆した。

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