3月10日にアメリカで突如起きた銀行破綻によって、市場はなお不安の中にあるようだ。
今回のSVB(シリコンバレーバンク)の破綻規模は、2008年のワシントン・ミューチュアルに次ぐ史上2番目の大きさと位置付けられる。
破綻直前までSVBの社債はいわゆる投資適格対象であり、債務不履行リスクが極めて低い銀行とみなされていた。突然の事態によって、年初から経済再加速への思惑などから上昇基調にあった株式市場への期待は急速にしぼんだ。
アメリカ政府の迅速な対応は評価されるべき
今回のSVBは預金流出という流動性の枯渇に直面した。休日の12日夜、同国の財務省などは同様の預金流出が他行に伝播することを防ぐ緊急対応措置として同行の預金を補償する方針を明示。銀行に対して、保有債券を担保に期限1年での流動性供給を行う特別プログラムも発表した。同国政府は保有する有価証券のリスクや損失を肩代わりする、「最後の貸し手機能」を迅速に繰り出した形だ。
預金者の銀行預金の取り付けが、金融システム全体を不安定化する事態に対して、政府や金融当局が先制的に対応しなければ、金融システムが揺らぎ、健全な銀行でも預金流出が起きてしまう。
こうした事態を防ぐための緊急対応として、公的資金を背景とした政策対応が必要になるが、必要な対応が迅速に実現したと評価できる。今回の政策対応は、初期の段階から株式市場の不安心理を大きく和らげている。
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