今後もアメリカの「預金全額保護政策」は続くのか 銀行の貸し出し資産劣化などの懸念はないのか

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アメリカの銀行預金保護を巡って、発言が二転三転したように受け取られたイエレン財務長官(写真:ブルームバーグ)

突然起きたアメリカのシリコンバレーバンク(SVB)の破綻などから、半月あまりが経過した。同国の銀行不安は欧州にも結果的に飛び火し、経営再建途上にあったクレディ・スイス・グループが株価急落に見舞われ、結局スイス当局の後押しで同国のUBSグループが買収するという急展開をみせた。

アメリカの「預金流出危機」はいずれ落ち着く

このような銀行破綻の連鎖は金融危機にみられる事象である。だが2008年に起きたリーマンショック時の教訓が生かされ、無秩序な金融機関の破綻は回避された。現在のところ、大型金融危機には至っていない。

一方でアメリカの銀行破綻連鎖の疑念は完全には払拭されていない。3月20日以降も、SVBと業態で類似性がある地方銀行などの銀行株は大きく下落したままである。

事態はなお流動的だが、SVBなど経営が行き詰まった破綻銀行に対する政府・当局の預金保護による危機対応は続いている。これがさらに徹底されれば、同国の中小銀行の預金流出の動きは、多少時間はかかるだろうが、いずれ落ち着くと筆者は想定している。

市場は当局の危機対応の持続性に敏感になっている。この間も、銀行預金の保護政策に関するジャネット・イエレン財務長官の発言で、株式市場が揺れ動く場面があった。

すなわち、SVBなどの破綻銀行は全額預金保護の対象となり、イエレン財務長官などは今後も同様の対応を継続する考えを示していた。だが、3月22日にはそのイエレン長官が「『全面的な預金保険の提供は検討しない』と発言した」と伝わり、株式市場が動揺する場面があった。

一部の市場関係者は「イエレン財務長官が前言を翻した」などと評していた。だが、同氏の発言が日々変わったように見えたのは、預金保護対応の制度設計が単純ではないがための誤解とみられる。本来、アメリカでは25万ドル以上の銀行預金は保護制度の対象ではない。だが、SVBなど破綻銀行に対しては「金融システムのための例外措置」として全額保護が行われた。

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